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知行合一
ちこうごういつ
作家
作品

国枝史郎

【 前記天満焼 】

 ここは大阪天満通てんまとおり大塩中斎おおしおちゅうさいの塾である。
 今講義が始まっている。
「王陽明の学説は、陸象山から発している。その象山の学説は、朱子の学から発している。周濂溪しゅうれんけい張横渠ちょうおうきょ程明道ていめいどう程伊川ていいせん、これらの学説を集成したものが、すなわち朱子の学である。……朱子の学説を要約すれば、洒掃応待の礼よりはじめ、恭敬いやしくも事をなさず、かつ心を静止して、読書して事物を究め、聖賢の域に入れよとある。……がこれでは廻り遠い。人間そうそう永生きはできぬ、百般の事物を究理せぬうちに、一生の幕を下ろすことになろう。容易に聖賢になることはできぬ。……ここに至ってか陸象山、直覚的究理の説を立てた。陸象山云って曰く、――我心は天のあたうるもの、万物の理は心内に在り、心内思考一番すれば、一切の理を認識すべしと――ところが陽明先生であるが、その象山の学説よりおこり、心即理、知行合一、致良知説を立てられた。……」

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岩野泡鳴

【 神秘的半獸主義 】

 たゞ單に實行と云つても、僕のは倫理學者などの云ふのとは違つて居よう。プラトーンは、王陽明などと同じ樣に、知行合一を唱へた。ところが、歐米最近の哲學界には、活動を中心として、僕等の經驗が乃ち宇宙その物だといふ立ち塲から、實用にならない知識は知識でないといふ學説――プラグマチズム――が餘程勢力を持つて來た。實用といふ語が僕等に何だか厭な感じを與へるが、兎に角、輪廓のみ辿る哲學者等のうちに、僕等の情意的方面にその心を寄せて來たものがあるのは喜ぶべき状態である。知識にせよ、實用にせよ、之を情的に體現するところに、神秘の關門があるのだ。生命はこの關門をくゞつて奔流して來るのである。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28