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中肉中背
ちゅうにくちゅうぜい
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作家
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作品
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【百物語】
地味な縞の、鈍い、薄青い色の勝った何やらの単物に袴を着けて、少し前屈みになって据わっている。徹夜をした人の目のように、軽い充血の痕の見えている目は、余り周囲の物を見ようともせずに、大抵直前の方向を凝視している。この男の傍には、少し背後へ下がって、一人の女が附き添っている。これも支度が極地味な好みで、その頃流行った紋織お召の単物も、帯も、帯止も、ひたすら目立たないようにと心掛けているらしく、薄い鼠が根調をなしていて、二十になるかならぬ女の装飾としては、殆ど異様に思われる程である。中肉中背で、可哀らしい円顔をしている。
銀杏返しに結って、体中で外にない赤い色をしている六分珠の金釵を挿した、たっぷりある髪の、鬢のおくれ毛が、俯向いている片頬に掛かっている。
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【浮雲】
醜くはないが何処ともなくケンがある。背はスラリとしているばかりで左而已高いという程でもないが、痩肉ゆえ、半鐘なんとやらという人聞の悪い渾名に縁が有りそうで、年数物ながら摺畳皺の存じた霜降「スコッチ」の服を身に纏ッて、組紐を盤帯にした帽檐広な黒羅紗の帽子を戴いてい、今一人は、前の男より二ツ三ツ兄らしく、中肉中背で色白の丸顔、口元の尋常な所から眼付のパッチリとした所は仲々の好男子ながら、顔立がひねてこせこせしているので、何となく品格のない男。
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【女強盗】
朱雀門の傍まで行くと、そこで盗品をわけ合って、この男にも麻袋一枚呉れた。その強盗の首領株と云うのは中肉中背の優美な男で年は二十四、五らしい。
胴腹巻をして、左右の手にはこてをして長刀を持っている。直衣袴の裾を緋の糸で、くくったのをはいている。
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【旅だち ――近代説話――】
亡父の遺産が可なりあるので、将来の生活にも不安がないそうでした。嘗て胃腸を少しく病んだことがあるが、現在は全く健康だとのことでした。中肉中背で、色は白い方で、顔立は美男子型だとのことでした。酒や煙草、その他の趣味娯楽、みな中庸を得てるとのことでした。――そういう概説は、縁談としては相当に突きこんだものではありましたが、然し実は何も語らないのと同じでした。
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【越後獅子】
中肉中背、濃い眉毛と少し大き過ぎる締った口の外には特長のない、眼鏡も
髯もなく、毬栗頭で、黒の背広に鼠色のネクタイという、誠に平凡な外貌の山井検事が、大兵肥満で、ガッシリした、実行力に富む署長と、相対した時には、佳いコントラストを為した。
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【怪しの館】
唇は刻薄に薄くもなく、さりとて卑しく厚くもない。で、やっぱり立派なのである。豊かな垂れ頬、ひきしまった頤、厚い耳たぶ、長目の首、総体が華奢で上品で、そうして何んとなく学者らしい。体格は中肉中身長である。顔に負けない品位がある。着流しの黒紋付き、それで端然と坐っている様子は、安く踏んでも大旗本である。
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Last updated : 2024/06/28