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忠君愛国
ちゅうくんあいこく
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作家
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作品
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【草枕】
恋はうつくしかろ、孝もうつくしかろ、忠君愛国も結構だろう。しかし自身がその
局に当れば利害の旋風に捲き込まれて、うつくしき事にも、結構な事にも、目は眩んでしまう。したがってどこに詩があるか自身には解しかねる。
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【人格を認知せざる国民】
しかし私は、同じく国家のために尽さぬにしても、不真面目でありながら口先ばかりで、天下国家を云々しているものよりは、退て一人を守る人の方が国のためになりはせぬかと考える。忠君愛国を
無暗に振り廻わして、天下を闊歩している不真面目な人よりは、寧ろ退いて一身を守っている人の方が、いざという時に天下国家のためになりはせぬか。
日本人間の、右のようは悪風な、形式的教育、私は忠君愛国を悪いとはいわないが、忠君愛国一天張の形式教育によりて、大分助長されているものと思う。忠君愛国一天張で、お前嘘をいうなというような、人道教育のないということは、この悪風の原因の一でなかろうか。 |
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【蘇峰先生の『大正の青年と帝国の前途』を読む】
蘇峰先生に限つた事ではない、明治以前の教育に育つた多くの尊敬すべき我々の先輩は、動もすれば今日の青年に忠君愛国の念が薄らぎつゝあると云ふ。又国家について遠大なる志望が欠けて居ると云ふ。又は国家の強盛に直接の関係ある問題――例へば軍備問題の如き――に興味を感ずる事極めて薄いと云ふ。之は如何にも其通りで、此等の批難は今日の多数の青年に当嵌る。故に我々は今日の青年に忠君愛国の念を鼓吹し、其志望を遠大ならしむべきを勧め、殊に軍備上の義務の如きは之を光栄ある義務として尊重し、且つ進んで之に当らしめんとする先輩の苦衷を諒とする。
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【蝸牛の角】
小生の手紙の大意は右のごときものであった。ところでこの手紙を書いているうちに、小生が少年時以来養成されて来たと思っていた皇室への情熱が、いつの間にか内容を異にしている――というよりも内容を深めているのに気づかざるを得なかった。小学中学で教え込まれた忠君愛国は、忠君即愛国、君即国であったが、なぜそれが同一になるかについて理解し得なかった。
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【ひらきぶみ】
私が「君死にたまふこと勿れ」と歌ひ候こと、桂月様たいさう危険なる思想と仰せられ候へど、当節のやうに死ねよ/\と申し候こと、またなにごとにも忠君愛国などの文字や、
畏おほき教育御勅語などを引きて論ずることの流行は、この方かへつて危険と申すものに候はずや。私よくは存ぜぬことながら、私の好きな王朝の書きもの今に残りをり候なかには、かやうに人を死ねと申すことも、畏おほく勿体なきことかまはずに書きちらしたる文章も見あたらぬやう心得候。いくさのこと多く書きたる源平時代の御本にも、さやうのことはあるまじく、いかがや。
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【変った話】
こんなことから考えてみると、我国固有の国民思想を保存し涵養させるのでも、いつまでも源平時代の鎧兜を着た日本魂や、滋籐の弓を提げた忠君愛国ばかりを学校で教えるよりも、時にはやはり背広を着て
折鞄でも抱えた日本魂をも教える方がよくはないかという気がしたのである。
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【瘠我慢の説】
すでに一国の名を成すときは人民はますますこれに固着して自他の分を明にし、他国他政府に対しては恰も痛痒相感ぜざるがごとくなるのみならず、陰陽表裏共に自家の利益栄誉を主張してほとんど至らざるところなく、そのこれを主張することいよいよ盛なる者に附するに忠君愛国等の名を以てして、国民最上の美徳と称するこそ不思議なれ。故に忠君愛国の文字は哲学流に解すれば
純乎たる人類の私情なれども、今日までの世界の事情においてはこれを称して美徳といわざるを得ず。
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【二十五年間の文人の社会的地位の進歩】
日本の文人は東京の中央で電灯の光を浴びて白粉の女と差向いになっていても、矢張り鴨の長明が有為転変を儚なみて浮世を観ずるような身構えをしておる。同じデカダンでも何処かサッパリした思い切りのいゝ精進潔斎的、忠君愛国的デカダンである。国民的の長所は爰であろうが短所も亦爰である。最っと油濃く執拗く腸の底までアルコールに爛らして腹の中から火が燃え立つまでになり得ない。
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【蓄音機】
この講堂建設以来この壇上で発せられた人間の声の中で、これくらい珍しいものはなかったに相違ない。忠君愛国
仁義礼智などと直接なんらの交渉をも持たない「瓜や茄子の花盛り」が高唱され、その終わりにはかの全く無意味でそして最も平民的なはやしのリフレインが朗々と付け加えられたのである。私はその時なんという事なしに矛盾不調和を感ずる一方では、またつめたい薄暗い岩室の中にそよそよと一陣の春風が吹き、一道の日光がさし込んだような心持ちもあった事を自白しなければならない。
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【東京人の堕落時代】
大正十二年の夏まで、日本を背負って立つ意気を示しているかのように見えた江戸ッ子の、現在の屁古垂れ加減を見よ。
そうして、これに取って代った新東京人の風俗のだらしなさ加減を見よ。
その武威に、その文化に、東洋の新興民族として、全世界の眼を瞭らした日本人の化の皮は、その首都の名に於て、美事に引っ剥がされてしまったのであった。
彼等東京人の云う忠君愛国、勤倹尚武、仁義道徳は皆虚偽であった。
彼等東京人の持つ外国文化の驚くべき吸収力、その不可思議な消化力、並びにその文化方面の宣伝力……それ等は只一時の上辷りのカブレに過ぎなかった。
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Last updated : 2024/06/28