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忠臣貞女
ちゅうしんていじょ
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作家
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作品
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夏目漱石
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【
教育と文芸 ――明治四十四年六月十八日長野県会議事院において――
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親が、子供のいう事を聞かぬ時は、二十四孝を引き出して子供を戒めると、子供は閉口するというような風であります。それで昔は上の方には束縛がなくて、上の下に対する束縛がある、これは能くない、親が子に対する理想はあるが子が親に対する理想はなかった。妻が夫に臣が君に対する理想はなかったのです。即ち忠臣貞女とかいうが如きものを完全なものとして孝子は親の事、忠臣は君の事、貞女は夫の事をばかり考えていた。誠にえらいものである。その原因は科学的精神が乏しかったためで、その理想を批評せず
吟味せずにこれを行って行ったというのである。
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Last updated : 2024/06/28