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得意満面
とくいまんめん |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【秋山図】
「もう秋山図はこちらの物です。煙客先生もあの図では、ずいぶん苦労をされたものですが、今度こそはご安心なさるでしょう。そう思うだけでも愉快です」王氏も得意満面でした。 |
太宰治 |
【二十世紀旗手 ――(生れて、すみません。)】
だんだん下に落ちて行く。だんだん上に昇ったつもりで、得意満面、扇子をさっとひらいて悠々涼を納めながらも、だんだん下に落ちて行く。五段落して、それから、さっと三段あげる。
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岡本綺堂 |
【半七捕物帳 正雪の絵馬】
この会に集まるほどの者は、いずれも多左衛門に劣らぬ数寄者(すきしゃ)であるから、勿論その絵馬を知っていた。そうして、丸多の主人がどうしてそれを手に入れたかを驚き怪しんで、みんな口々にその事情を訊(き)きただしたが、得意満面の多左衛門は唯にやにやと笑っているばかりで、詳しい説明をあたえなかった。
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織田作之助 |
【猿飛佐助】
これこそ、佐助の思う壺(つぼ)であった。五右衛門の奴め、わが術中に陥ったとは、笑止笑止と、佐助は得意満面の、いやみな声を出して、「やよ、五右衛門、その水遁の術、薮をつついて、蛇を出したぞ。重ねた悪事の報いに、やがては、釜の油で煮られるその方、今のうちに蟇の油で焼かれる熱さ に馴れて置け! それとも後悔の背を焼かれる、その熱ささましたければ、まずうぬが眼をさまして、顔を洗うまえに、悪事の足を洗うがよかろう」 |
林不忘 |
【仇討たれ戯作】
自分は一つ、一人も人が死なず一滴も血をこぼさない敵討物を書いて一世を驚倒させてやろうと考えた。そして練り上げてできた一つの筋に、「敵討記乎汝(かたきうちおぼえたかうぬ)」の題を得た時、六樹園は得意満面で独りで大笑いに笑った。
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海野十三 |
【軍用鮫】
楊(ヤン)博士は、いまや得意満面、手の舞い足の踏むところを知らなかった。さっそく祝宴を命じたところへ、猛印首都の軍政府委員長チャンスカヤ某から、電報がついた。さだめし祝電であろうと思って読んでみると、
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菊池寛 |
【賤ヶ岳合戦】
岩崎山の高山右近は、大岩山陥ると聞くや、一戦もせずに城を出て、木の本へ引退いた。大岩、岩崎を手に入れた盛政は得意満面である。早速勝家に勝報を致す。
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押川春浪 |
【本州横断 癇癪徒歩旅行】
ナァニあの先生が捕虜になる気遣いはないと、一同は一足お先に那珂川(なかがわ)に架けたる橋を渡り、河畔の景色(けいしょく)佳(よ)き花月旅店(りょてん)に着いて待っていると、間(ま)もなく杉田先生得意満面、一行の荷物を腕車(わんしゃ)に満載してやって来た。
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寺島柾史 |
【怪奇人造島】
果して、数時間ののち、幽霊船虎丸(タイガーまる)は、運命の方船(はこぶね)を、海洋に捨て、単独で動き出した。心臓部の機関が、軽快な響きを立てて回転し、太い煙突からは、海洋を圧するような黒煙が吐き出され、十五節(ノット)の速度で、西に針路を執って航行しはじめた。僕は、得意満面である。西へ! 西へ! 西方には、祖国日本が横(よこた)わっている。
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正岡容 |
【小説 圓朝】
それ見ろそれ見ろ、だからこッとら初手からいわねえこっちゃねえってんだ、ざまァ見やがれかんぷらちんきめ――ほんとうに今の今そういいたげな得意満面の顔いろだった。
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種田山頭火 |
【行乞記 (三)】
蛇が蛙を呑んだ、悲痛な蛙の声、得意満面の蛇の姿、私はどうすることもできない、どうすることはないのだ!
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佐藤紅緑 |
【少年連盟】
かれはまず、その首に手綱(たづな)をつけた、それから両眼に目かくしをかけ、バクスターとガーネットにひかせて、しずしずと広場の中央にあゆみよった。一同はかっさいした。サービスは得意満面(とくいまんめん)、やっと声をかけて、だちょうの背に乗らんとしたが、だちょうがおどろいてからだをゆすったので、つるつるとすべって、草の上にどしんと落ちた。 |
木下尚江 |
【火の柱】
「ハヽヽヽ松島と篠田、こりや必竟(ひつきやう)帝国主義と、社会主義との衝突ぢや、松島、確乎(しつかり)せんとならんぞ」と侯爵は得意満面に松島を見やりつ「然(し)かし松島、才色兼備の花嫁を周旋する以上は、チト品行を慎(つゝし)まんぢや困まるぞ、此頃は切(しき)りと新春野屋の花吉に熱中しをると云ふぢやないか」
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