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当意即妙
とういそくみょう |
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作家
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作品
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織田作之助 |
【大阪の可能性】
話は外れたが、書きにくい会話の中でも、大阪弁ほど書きにくいものはない。大阪に生れ大阪に育って小説を勉強している人でも、大阪弁が満足に書けるとは 限らないのだ。平常は冗談口を喋らせると、話術の巧さや、当意即妙の名言や、駄洒落の巧さで、一座をさらって、聴き手に舌を巻かせてしまう映画俳優で、い ざカメラの前に立つと、一言も満足に喋れないのが、いるが、ちょうどこれと同様である。
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菊池寛 |
【仇討三態】
彼は、自分の腕をまくって、二の腕の傷を見せた。それは、彼が丸亀を退散して、京の四条の茶屋の板前を勤めていたとき、血気の朋輩と喧嘩をして、お手の 物の包丁で斬りつけられた傷である。彼は、それを時にとっての証拠として、自分の話に動かせない真実性を加えたのであった。彼は、自分の当意即妙に、自分 で感心した。
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宮本百合子 |
【しようがない、だろうか?】
一日のうちに、いくど「しようがないなア」という声があがるだろう。ところが不思議なことには、しようがないなア、といいながらも、実際ではすぐそのあと から、何とかそこに当意即妙の知恵を発揮して、わたしたちは、そのことをともかくしようことのあることにして生活して来ている。
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折口信夫 |
【小栗外伝(餓鬼阿弥蘇生譚の二) 魂と姿との関係】
小栗は餓鬼阿弥として土車で送られた。勿論業病の乞食としてゞある。私には餓鬼阿弥の名が、当意即妙の愛敬ある呼び名としての感じも伴ふけれども、同時に、固有名詞らしい気持ちをも誘ふ。
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岸田國士 |
【「語られる言葉」の美】
これは、知識の高下や、教養の有無に関係がなく、強ひて他にも原因を求めれば国民の性情が、明快さを尊び、婉曲を好み、当意即妙を悦び、社交性に富むといふやうな点にも関係があるであらう。
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清水紫琴 |
【したゆく水】
うわははははは、この師直(もろなほ)は、鮒侍などと、旧い摸型(かた)は行き申さぬ。当意即妙新案の、蝸牛(くわぎう)紳士は、どでござる。
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国枝史郎 |
【レモンの花の咲く丘へ】
領主 嬢の美しさが銀の竪琴の音のようだとは、当意即妙の讃辞(ほめことば)。(と一同を見)方々もさように覚しめすか、如何でござる。(一同の騎士、音楽家は一斉に頷き笑い、互いに語り合うて各自の楽器を鳴らす。
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相馬愛蔵 |
【一商人として ――所信と体験――】
翌朝、私は試みに一缶だけ持参すると、彼はすこぶる不興気に声をあららげて『君、一ダースの註文だよ、たった一缶とは不都合じゃないか』私もそこで当意即妙に、『私は毎日来るのだから、新しいの新しいのと届ける方がよいでしょう。ところで代価ですが、私の方は現金主義ですから三十銭頂戴しましょう』
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黒岩涙香 |
【幽霊塔】
此の様な事には余の大力が最も適して居る、権田とても随分頑丈な男では有るが、荒仕事に掛けては大力の評判の有る余に及ぶ筈はない、彼自らそうと知って其 の身は戸を守る役を勤め荒仕事を余に振り分けたは当意即妙と賞めても好い、探偵は余の手の内で悶くけれども宛も悪戯児供の手に掛かった人形の様である、
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