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津津浦浦/津々浦々
つつうらうら つづうらうら |
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作家
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作品
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倉田百三 |
【青春の息の痕】
クリスマスを祝うという習慣は本当に美しい習慣と思います。貪欲な人間たちがよくこんな習慣を津々浦々にいたるまで行き渡るように守るようになったと不思議に思われます。やはり人性の善と愛の勝利というようなことが考えられます。
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太宰治 |
【津軽】
文化に於いて、はたまた産業に於いて然り、かしこくも明治大帝の教育に関する大御心はまことに神速に奥州の津々浦々にまで浸透して、奥州人特有の聞きぐるしき鼻音の減退と標準語の進出とを促し、嘗ての原始的状態に沈淪した蒙昧な蛮族の居住地に教化の御光を与へ、
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森鴎外 |
【山椒大夫】
こうして二人は幾日か舟に明かし暮らした。宮崎は越中、能登(のと)、越前(えちぜん)、若狭(わかさ)の津々浦々を売り歩いたのである。
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坂口安吾 |
【お魚女史】
自分でゴシップをつくりだすという主犯の役目はやらないのだが、ひとたびゴシップがこの男の耳にふれたが最後、二日のあとには津々浦々に伝わっている。毎日三十枚のハガキを速達でだしている。
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幸田露伴 |
【旅行の今昔】
だが、昔の俳人歌人の行脚といったようなことには、商買的の気味も有りましたろうが、其の中におのずから苦行的修練的の真面目な意味が何分か籠って居て、生やさしい戯談半分遊山半分ばかりでは出来無かった旅行なのでした。其の修業的旅行という事は、文明の威力で津々浦々山の奥谷の底までが開けた結果として、今日では先ず日本内地では殆ど成り立たない事になりました。
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折口信夫 |
【神道の史的価値】
結婚式場となつて居る例は、最早津々浦々に行き亘つて居る。品評会場・人事相談所・嬰児委托所などには、どうやら使はれ相な気運に向いて来た。
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泉鏡花 |
【灯明之巻】
それにしても、今時、奥の細道のあとを辿(たど)って、松島見物は、「凡」過ぎる。近ごろは、独逸(ドイツ)、仏蘭西(フランス)はつい隣りで、マルセイユ、ハンブルク、アビシニヤごときは津々浦々の中に数えられそうな勢(いきおい)。
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牧野信一 |
【文学的自叙伝】
個性と自然との純一を貴んでこそはぢめて心身のトレイニングに役立つべきで、今や朝(あした)の霞を衝いて津々浦々までも鳴り渡るあの明朗至極なるラヂオ體操を見ても明らかの如く、正にあのやうなる悠かな窈窕味をもつて大氣に飽和し、
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宮本百合子 |
【便乗の図絵】
ところで、便乗という言葉はひところあれほどひろくはやったが、真実のところでは、日本の人口のどれだけの部分が、その人たちの生活の現実で時勢に便乗したのであったろうか。便乗という言葉が日本の津々浦々にまではやったのにくらべて、現実に便乗してしっかり何かの利得を掴(つか)んだという人の数がすくないのに、むしろびっくりしはしないだろうか。
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長谷川時雨 |
【きもの】
お針仕事が、津々浦々の、女たちにもわかりよいやうに、反物の幅(はば)は、およそ男の人の絎(ゆき)に一ぱいであることを目標(めあて)とし、
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林不忘 |
【釘抜藤吉捕物覚書 宙に浮く屍骸】
さる御家人の次男坊と生れた彼は、お定まりどおり、放蕩に身を持ち崩したあげくの果てが、七世までの勘当となり、しばらく草鞋を穿いて雲水の托鉢僧(たくはつそう)と洒落のめし日本全国津々浦々を放浪していたが、やがてお江戸(ひざもと)へ舞い戻って気負いの群からあたまを擡(もた)げ、今では押しも押されもしない十手捕繩の大親分
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久生十蘭 |
【顎十郎捕物帳 捨公方】
「……いかにも。やがて十歳になったので、剃髪させようとすると、僧になるのを嫌って寺から出奔してしまった。……それからちょうど十四年。……わしは雲水になって津々浦々、草の根をわけて捜しまわったが、どうしても捜しだすことが出来申さぬ。……この春、一度寺を見るつもりで草津へ帰ると、お沢の家主の久五郎というひとから赤紙つきの手紙が届いておった……」
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国枝史郎 |
【大鵬のゆくえ】
ちりぢりに別れた六歌仙は再び一つにはなれなかった。 「吉備彦の素敵もない財宝は六歌仙の絵巻に隠されている。絵巻の謎を解いた者こそ巨富を得ることが出来るだろう」――こういう伝説がいつからともなく津々浦々に拡まった頃には、当の絵巻はどこへ行ったものか誰も在所(ありか)を知らなかった。六人の兄弟はどうしたか? これさえ記録に残っていない。 |
寺田寅彦 |
【ジャーナリズム雑感】
スコットランドの湖水に怪物が現われたというのでえらい評判であった。しかし現代のジャーナリズムは、まだまだ恐ろしいいろいろの怪物を毎朝毎夕製造しては都大路から津々浦々に横行させているのである。そうして、それらの怪物よりもいっそう恐ろしくもまた興味の深い不思議な怪物はジャーナリズムの現象そのものであるかもしれない。
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夢野久作 |
【木魂】
彼自身の貴い経験によって、心血を傾けて編纂(へんさん)しつつある「小学算術教科書」が思い通りに全国の津々浦々(つづうらうら)にまで普及した嬉しさや、さては又、県視学の眼の前で、複雑な高次方程式に属する四則雑題を見事に解いた教え子の無邪気な笑い顔なぞを思い出しつつ
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小栗風葉 |
【深川女房】
金之助の泊っているのは霊岸島の下田屋という船宿で。しかしこの船宿は、かの待合同様な遊船宿のそれではない、清国(しんこく)の津々浦々から上(のぼ)って来る和船帆前船の品川前から大川口へ碇泊(ていはく)して船頭船子(ふなこ)をお客にしている船乗りの旅宿で、
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佐藤紅緑 |
【少年連盟】
五月五日は日本においては少年の最大祝日なのだ。それはちょうど、欧米におけるクリスマスににたものだ、日本全国津々浦々(つつうらうら)にいたるまで、いやしくも男の子のある家では、屋根よりも高く鯉幟(こいのぼり)を立てる、室内には男性的な人形をかざる。
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原勝郎 |
【東山時代における一縉紳の生活】
当代能書の第一人として、禁裏からしばしば書写の命を受けたことは、前回にすでに述べたごとくであるが、彼の名の都はおろか、津々浦々のはてまでも永く記憶されたのは、一つにはその水茎の跡のかおりであって見れば、煩をいとわず今少しく彼の書について補いしるさんこと、
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ハンス・クリスチアン・アンデルセン |
【即興詩人】
カムパニアの野を圍める山に隔てられて、夢にだに見えざりける津々浦々は、次第に浮び出で、歴史はそのところ/″\に人を住はせ、そのところ/″\にて珍らしき昔物語を歌ひ聞せたり。
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