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九十九折
つづらおり |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【禅僧】
医者は多少の財産があるのか、夏場は温泉で遊び冬は橇を走らして遠い町へ遊びにでかけた。夏の山路は九十九折(つづらおり)で夜道は自動車も危険だが、冬は谷が雪でうづまり夜も雪明りで何心配なく橇が谷を走るのだ。そのうちに村の娘を孕まして問題を起した。
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若山牧水 |
【樹木とその葉 自然の息自然の聲】
即ちこれが昔の噴火口の壁の一部であつたのださうだ。私の通つた時には、その崖には俥(くるま)すら登る事が出來なかつた。九十九折(つづらをり)の急坂を登つて行くと、路に山茶花の花が散つてゐた。
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若山牧水 |
【みなかみ紀行】
昨夜の時雨が其の儘に氷つたかと思はるゝばかりに、路には霜が深かつた。峰の上の空は耳の痛むまでに冷やかに澄んでゐた。溪に沿うて危い丸木橋を幾度か渡りながら、やがて九十九折(つゞらをり)の嶮しい坂にかゝつた。それと共に四邊はひし/\と立ち込んだ深い森となつた。
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泉鏡花 |
【木の子説法】
舞台は、山伏の気が籠(こも)って、寂(しん)としている。ト、今まで、誰一人ほとんど跫音(あしおと)を立てなかった処へ、屋根は熱し、天井は蒸して、吹込む風もないのに、かさかさと聞こえるので、九十九折(つづらおり)の山路へ、一人、篠(しの)、熊笹を分けて、嬰子(あかご)の這出(はいだ)したほど、思いも掛けねば無気味である。
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尾崎紅葉 |
【金色夜叉】
まして今日となりては、手置の宜(よろし)からぬ横町、不性なる裏通、屋敷町の小路などの氷れる雪の九十九折(つづらをり)、或(ある)は捏返(こねかへ)せし汁粉(しるこ)の海の、差掛りて難儀を極(きは)むるとは知らず、
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近松秋江 |
【箱根の山々】
日に幾臺となく自動車の馳走する九十九折せる坦道を小涌谷の方へ降りてゆく順路に沿うて歩いてゆくと道の右方にあたつて舊東海道の通ずる古い大溪谷の眺望が深く抉つたやうに展望される。
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寺田寅彦 |
【浅間山麓より】
翌日自動車で鬼押出(おにおしだし)の溶岩流を見物に出かけた。千ヶ滝から峰の茶屋への九十九折(つづらおり)の坂道の両脇の崖を見ると、上から下まで全部が浅間から噴出した小粒な軽石の堆積であるが、上端から約一メートルくらい下に、薄い黒土の層があって、その中に樹の根や草の根の枯れ朽ちたのが散在している。
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林不忘 |
【丹下左膳 乾雲坤竜の巻】
ゆうべ夜中に二本松で泰軒先生に置いてけぼりを食わせてから、五里の山道をひた走りに明け方には福島に出て、そこから東へ切れて舟地(ふなち)の町で三春川を渡り、九十九折(つづらおり)の相馬街道を無我夢中のうちに四里半、手土(てつち)一万石立花出雲守の城下を過ぎ、
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夢野久作 |
【白くれない】
人の運命より測り知り難きはなし。われ、かく思ひて其の夜すがら三坂峠を越え行くに、九十九折(つゞらをり)なる山道は、聞きしに勝る難所なり。山気漸く冷やかにして夏とも覚えず。 |
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