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海千山千
うみせんやません |
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作家
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作品
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幸田露伴 |
【骨董】
もし真に掘出しをする者があれば、それは無頼溌皮(ぶらいはっぴ)の徒でなければならぬ。またその掘出物を安く買って高く売り、その間(かん)に利を得る者があれば、それは即ち営業税を払っている商売人でなければならぬ。商売人は年期を入れ資本を入れ、海千山千の苦労を積んでいるのである。
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坂口安吾 |
【街はふるさと】
放二の伝えるところによると、大庭長平は全然平静で、好いた同志なら何者と一しょになってもかまわないという考えだそうだ。そして、一安心して、京都へ帰ってしまったという。エンゼルは事の意外に驚いたばかりでなく、大庭という奴が海千山千の強(したた)か者で、記代子のバカさかげんに手を焼いており、これを拾いあげたエンゼルをいいカモだと笑っているのじゃないかとヒガンだほどであった。 |
織田作之助 |
【文学的饒舌】
人間的にいわゆる大人になることは作家として果して必要だろうか。作家の中には無垢の子供と悪魔だけが棲んでおればいい。作家がへんに大人になれば、文学精神は彼をはなれてしまう。ことに海千山千の大人はいけない。舟橋聖一氏にはわるいが、この人の「左まんじ」という文芸春秋の小説は主人公の海千山千的な生き方が感じられてがっかりした。丹羽文雄氏にもいくらか海千山千があるが、しかし丹羽氏の方が純情なだけに感じがいい。
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夢野久作 |
【斜坑】
「お前(めえ)があんまり可愛がり過ぎるけんで、福太郎どんが帰りを急ぐとぞい」とお作が皆(みんな)から冷やかされる事になったが、流石(さすが)に海千山千のお作もこの時ばかりは受太刀(うけだち)どころか、返事も出来ないまま真赤になって裏口から逃げ出して行った位であった。 |
三好十郎 |
【冒した者 ――Sの霊に捧げる――】
若宮 (その間もつづけて)女たちはみんなおびえてしまった、ひとかたまりになってちぢみあがっていたが、その中で海千山千の、枕だこの出来たシタタカ者が二人ばかり、どういうわけか、眼の色を変えて、人殺しを追いかけまわしはじめた。
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宮本百合子 |
【婦人と文学】
私は今それを、その根性の出るたびに克服すべく心がけております。」そして、この座で、一人の男が、そういう経歴の彼女に対して「その海千山千のみね子氏を」云々と云ったことについて、深く考えている。「海千山千という言葉は売笑婦的にきこえる。
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中里介山 |
【大菩薩峠 椰子林の巻】
女というものはこういうものなんだ。したい三昧(ざんまい)をしつくしていても、べつだん悪い面はしなかったが、そのしたい三昧をあきらめて、お前のために帰って来た、と言われると、女は嬉しいのだ。何よりも嬉しいと見える。だからこの海千山千の代物(しろもの)が、貰いたての女房のような心意気を見せて、この不精者が、おしろいの手を水仕(みずし)に換えて、輸入のテン屋を排撃して、国産を提供して、おれに味わわせようというのだな。
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夢野久作 |
【ドグラ・マグラ】
これを聞いた時には流石(さすが)に海千山千の吾輩も、尻に帆を上げかけたね。大学の中だけは学術研究の安全地帯だと思っていたのが、豈計(あにはか)らんやのビックリ箱と来たもんだからね。
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