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有象無象
うぞうむぞう |
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作家
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作品
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太宰治 |
【水仙】
草田氏をはじめ、その中泉という老耄(ろうもう)の画伯と、それから中泉のアトリエに通っている若い研究生たち、また草田の家に出入りしている有象無象(うぞうむぞう)、寄ってたかって夫人の画を褒めちぎって、あげくの果は夫人の逆上という事になり、「あたしは天才だ」と口走って家出したというのであるが、僕は話を聞きながら何度も噴き出しそうになって困った。
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坂口安吾 |
【散る日本】
木村名人一門の外はたぶんあらゆる高段棋士が名人の敗北をひそかに期待してゐたであらう。絶対不敗の名人とか実力十一段とか、伝説的な評価が我々素人の有象無象(うぞうむぞう)に軽率に盲信される、自らひそかに恃(たの)むところのある専門棋士には口惜しい筈で、
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宮武外骨 |
【一円本流行の害毒と其裏面談】
次に利己一遍の有象無象が、自衛上の已むなきに出たとしても、発頭者の無謀をマネて其罪悪を拡大し、其害毒を増大せしめたのは、共に不埒の暴挙である、
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岸田國士 |
【続言葉言葉言葉(その一)】
一つの好い思想、好い目論見、好い言葉さへも、それを担ぎ、それに加はり、それを使ふ有象無象のために、折角の魅力が失はれてしまふ例が実に多いのだ。
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横光利一 |
【微笑】
青葉に射(さ)し込もっている光を見ながら、安らかに笑っている栖方の前で、梶は、もうこの青年に重要なことは何に一つ訊けないのだと思った。有象無象(うぞうむぞう)の大群衆を生かすか殺すか彼一人の頭にかかっている。
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幸田露伴 |
【蒲生氏郷】
二本松義継の為に遽(にわか)に父の輝宗が攫(さら)い去られた時、鉄砲を打掛けて其為に父も殺されたが義継をも殺して了った位のイラヒドイところのある政宗だ。関白の威勢や、三好秀次や浅野長政や前田利家や徳川家康や、其他の有象無象(うぞうむぞう)等の信書や言語が何を云って来たからと云って、禽(とり)の羽音、虻(あぶ)の羽音だ。
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中里介山 |
【大菩薩峠 東海道の巻】
「それはそうよ、なにもこちとらが遊行上人を逆さに振ってみようとは言わねえ、その上人をめあてに集まる近国の有象無象(うぞうむぞう)ども、そこに一つの仕組みがあるんだ、上人は上人でお十念(じゅうねん)を授けている間に、こちとらはこちとらで自分の宗旨を弘める分のことよ」
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宮本百合子 |
【農村】
お汁(つけ)の中の餅をありったけ食べつくしてから甚五郎は水口から井戸までの細道をつけ一通りぐるりを見廻ってから、手拭をもらって帰った。それから後、引きつづき引きつづき有象無象が「悪いお天気でやんすない、お見舞に上りやしただ。 と云って来た。その中の或る者は、水を四肩(二つの手桶を天秤棒にかけたのを一肩と云う)も汲んで行ったり、これから四五日の薪をすっかりこしらえて行ったのもあった。 |
林不忘 |
【丹下左膳 乾雲坤竜の巻】
おめいた左膳、乾雲を隻腕に大上段、ヒタヒタッと背後に迫って、皎剣(こうけん)、あわや迅落しようとするところをヒラリひっぱずした栄三郎は、そのとき眼前にたじろいだ土生仙之助へ血刀を擬して追いすがった。有象無象(うぞうむぞう)から先にやってしまえ! という腹。 土生仙之助、抜き合わせる隙がなく、鞘ごとかざして、はっし! と受けたにはうけたが、ぽっかり見事に割れた黒鞘が左右に飛んで思わずダアッとしりぞく。 |
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