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余韻嫋嫋/余韻嫋々
よいんじょうじょう |
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作家
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作品
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太宰治 |
【津軽】
名物にうまいものなし、と断じてゐたが、それは私の受けた教育が悪かつたせゐであつた。あの古池の句に就いて、私たちは学校で、どんな説明を与へられてゐたか。森閑たる昼なほ暗きところに蒼然たる古池があつて、そこに、どぶうんと(大川へ身投げぢやあるまいし)蛙が飛び込み、ああ、余韻嫋々、一鳥蹄きて山さらに静かなりとはこの事だ、と教へられてゐたのである。なんといふ、思はせぶりたつぷりの、月並(つきなみ)な駄句であらう。
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田中英光 |
【オリンポスの果実】
それから、間もなく催(もよお)して頂いた、ハワイの官民歓迎会の、ハワイアン・ギタアと、フラ・ダンス、いずれも土人の亡国歌、余韻嫋々(よいんじょうじょう)たる悲しさがありましたが、ぼくは、その悲しさに甘く陶酔(とうすい)している自分を、すぐ発見して、なにか可憐(いと)しく思ったのです。ハワイでは、あなたと一度も、話し出来ませんでしたが、ぼくは、美しい異国の風景のなかに、あなたの姿を、まぼろしに描(えが)くだけで、満足でした。
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宮本百合子 |
【文学における古いもの・新しいもの ――「風雲」について――】
しかし「風雲」の中で、竹造と作者とのけじめは、そのようにくっきりとしていない。作者は、竹造のこまごまとした内的推移についてゆくうちに、あるところでは全く竹造と同化して余韻嫋々的リズムへ顔を押しつけているために、作品の後味は、この作品がある特別な階級人をその輪廓の内から書いているような錯倒した印象を与えるのである。
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倉田百三 |
【学生と先哲 ――予言僧日蓮――】
驢馬に乗ったキリストを私たちは連想する。日蓮はこの栗毛の馬に愛と感興とを持った。彼の最後の消息がこの可憐な、忠実な動物へのいつくしみの表示をもって終わっているのも余韻嫋々としている。彼の生涯はあくまで詩であった。
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加藤道夫 |
【なよたけ】
文麻呂 (独白)風か!………文麻呂は何やら急に耐え難い孤独感に襲われるのであった。懐(ふところ)より横笛を取り出して、親しい「曲」を奏し始める。澄んだ笛の妙音、風に伝わって、余韻嫋々(よいんじょうじょう)………舞台、しばらくは横笛を奏する文麻呂。 文麻呂、突然、何か不思議な予感に襲われたもののように唇(くちびる)からふと横笛を離す。耳を澄ます。――どこからともなく、こだまのように同じ曲が響いて、………消える。 |
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