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妖怪変化
ようかいへんげ |
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作家
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作品
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幸田露伴 |
【観画談】
ト蔵海先生実に頼もしい。平常は一ト通りの意地が無くもない晩成先生も、こゝに至つて多力宗になつて仕舞つて、たゞもう世界に力とするものは蝙蝠傘一本、其の蝙蝠傘の此方(こつち)は自分が握つてゐるが、彼方(むかふ)は真の親切者が握つてゐるのだか狐狸が握つて居るのだが、妖怪変化、悪魔の類が握つてゐるのだか、何だか彼だかサッパり分らない黒闇(こくあん/\)の中を、兎に角後生大事にそれに縋つて随つて歩いた。
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斎藤茂吉 |
【念珠集】
そして、『あ、上燗(じやうかん)だあ、上燗だあ』と云つてゐるところを父は話した。そこのところまで来ると父のこゑに一種の勢(いきほひ)が加はつて子供等は目を大きくして父の顔を見たものである。父は奇蹟を信じ妖怪変化(えうくわいへんげ)の出現を信じて、七十歳を過ぎて此世を去つた。
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泉鏡花 |
【茸の舞姫】
三人斉(ひと)しく山伏なり。白衣(びゃくえ)に白布の顱巻(はちまき)したが、面(おもて)こそは異形(いぎょう)なれ。丹塗(にぬり)の天狗に、緑青色(ろくしょういろ)の般若(はんにゃ)と、面(つら)白く鼻の黄なる狐である。魔とも、妖怪変化とも、もしこれが通魔(とおりま)なら、あの火をしめす宮奴が気絶をしないで堪(こら)えるものか。
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薄田泣菫 |
【艸木虫魚】
夜半亭蕪村の描いた真桑瓜と西瓜の化物を見たことがあった。すべての想像に画のようなはっきりとした輪廓をもたせないではおかなかったこの芸術家は、絶えず幻想を娯み、また幻想に悩まされていたのではあるまいかと疑われるほど、妖怪変化について多くの記述と絵画とを遺している。
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岸田劉生 |
【ばけものばなし】
乱神怪力を語るという事は、結局「嘘」という事に無神経だという事になる。妖怪変化(ようかいへんげ)というものは、「無(な)」いといってしまっては曲(きょく)のないものにはちがいない。 |
坂口安吾 |
【安吾巷談 田園ハレム】
大戦争のあとというものは何がとびだすか見当がつかない。日本全土の主要都市が焼野原だから、どういう妖怪変化がとびだしても不似合ということはない。覚悟はしていたことだから、パンパンやオカマや集団強盗など月並であったが、アロハにはおどろいた。 |
辻潤 |
【錯覚した小宇宙】
自分は少年の時分からひどく空想癖が強く勿論、妖怪変化の類が好きだった。長ずるに及んで神秘家になったところで別段不思議ではあるまい。しかし、なぜ自分がロマンチケルであるかということは説明のしようもない。
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萩原朔太郎 |
【月の詩情】
実際に銀座通りを歩いてゐる人々は、空に月があることさへも忘れて居るのだ。ところが近代では、都会も田舎もおしなべて電光化し、事実上の都大路になつてゐるのだから、彼等の詩人に月が閑却されるのは当然である。科学は妖怪変化と共に、月の詩情を奪つてしまつた。
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水上滝太郎 |
【山の手の子】
この店には千代紙を買いに行く、私の姉のお河童(かっぱ)さんの姿もしばしば見えた。芳年(よしとし)の三十六怪選の勇ましくも物恐ろしい妖怪変化(ようかいへんげ)の絵や、三枚続きの武者絵に、乳母(うば)や女中に手を曳(ひ)かれた坊ちゃんの足は幾度もその前で動かなくなった。
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佐藤垢石 |
【純情狸】
妖怪変化は、そのまま葬っては、幽冥界から再び帰ってくる虞(おそ)れがある。まず皮を剥いで取って置き、骸(むくろ)は油をかけて焼いてしまえ、これ者共。
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豊島与志雄 |
【怪異に嫌わる】
刀には執着はないが、お化にこがれていたのだ。と云って、僕は妖怪変化の存在を信じてるのではない。そんなものはまあ居ないものと思ってはいるが、然し、どうかして逢いたいのだ。
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岡本綺堂 |
【池袋の怪】
で、右の石は庭内にも落ちるが、座敷内にも落ちる、何が扨(さて)、その当時の事であるから、一同ただ驚き怪しんで只管(いたずら)に妖怪変化の所為(しわざ)と恐れ、お部屋様も遂にこの邸(やしき)に居堪(いたたま)れず、浅草並木辺の実家へ一先(ひとまず)お引移りという始末。
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海野十三 |
【四次元漂流】
だが、今のが現実だとしたら、いったいあれを何とといたらいいだろうか。この世ながらの幽霊の首を見たといったらいいであろうか。それとも妖怪変化が研究室の中に現われたといった方がいいか。とにかくどっちにしたところで、自分の話を本当にとってくれる人は先ずいないだろう――と、道夫はもう今から当惑した。
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国枝史郎 |
【大鵬のゆくえ】
「そこでお伺い申しますが、宇治の牛丸と申す爺(おやじ)、本性は何者でござりましょうや?」「妖怪変化ではあるまいし、本性などとは無礼であろうぞ。宇治の牛丸と申すのは馬飼吉備彦(うまかいきびひこ)の変名じゃわい」 「うへえ!」 |
嘉村礒多 |
【途上】
又言ひなり通り夜の自習時間に下町のミルクホールに行き熱い牛乳を何杯も飲まし板垣を乗り越えて帰つて来る危険を犯すことを辞しなかつた。夜寝床に入ると請はるゝまゝに、祖父から子供のをり冬の炉辺のつれ/″\に聞かされた妖怪変化(えうくわいへんげ)に富んだ数々の昔噺(むかしばなし)を、一寸法師の桶屋(をけや)が槌(つち)で馬盥(ばだらひ)の箍(わ)を叩(たゝ)いてゐると箍が切れ跳(は)ね飛ばされて天に上り雷さまの太鼓叩きに雇はれ、
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