作 家
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作 品
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部 上】 村の宿役人仲間へ料紙一束ずつ、無尽の加入者一同への酒肴料(しゅこうりょう)、まだそのほかに、二巾(ふたはば)の縮緬(ちりめん)の風呂敷が二枚あった。それは金兵衛と桝田屋(ますだや)の儀助(ぎすけ)の二人(ふたり)が特に多くの金高を引き受けたというので、その挨拶の意味のものだ。 |
長谷川時雨 |
【町の構成】 その二階家は「炭勘」という名の——炭屋勘兵衛とでもいったのだろう。鼈甲細工屋(べっこうざいくや)のになっていたが、黒い三巾(みすじ)の垂れ暖簾(のれん)に |