|
■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
円転滑脱 えんてんかつだつ ⇒ 円転滑脱 ⇒ 円融滑脱 |
|
作家
|
作品
|
---|---|
吾輩は猫である |
【吾輩は猫である】
「そりゃ、その――何だね――何でも――え、来たがってるんだろうじゃないか」鈴木君の挨拶は少々曖昧(あいまい)である。実は寒月君の事だけ聞いて復命さえすればいいつもりで、御嬢さんの意向までは確かめて来なかったのである。従って円転滑脱(かつだつ)の鈴木君もちょっと狼狽(ろうばい)の気味に見える。「だろうた判然しない言葉だ」と主人は何事によらず、正面から、どやし付けないと気がすまない。 今主人が踏んでいるところは敷居である。流しと板の間の境にある敷居の上であって、当人はこれから歓言愉色(かんげんゆしょく)、円転滑脱(えんてんかつだつ)の世界に逆戻りをしようと云う間際(まぎわ)である。その間際ですらかくのごとく頑固(がんこ)であるなら、この頑固は本人にとって牢(ろう)として抜くべからざる病気に相違ない。 |
菊池寛 |
【貞操問答】
「ですから、私もあの人に出て行ってくれなんて、ちっとも云いませんのよ。でも向うから暇をくれと云う奉公人に、主人が頭を下げて、どうぞ居てくれとも云えないじゃありませんか。あの人も、少し高慢なところが、瑕(きず)ですわ。もう、少し素直だとほんとうにいい人なんですけれど。」「ふむ。」準之助氏は止むを得ずうなずいた。夫人がこうも円転滑脱、弁舌さわやかに、自分の立場を明らかにした以上、こっちからそれを崩しにかかることは、たいへんである。下手に、かかって行けば、たちまちヒステリックに不貞くされてしまうに違いないのだ。 |
長谷川時雨 |
【豊竹呂昇】
豊竹呂昇(とよたけろしょう)――ほんとにあの女(ひと)こそ円転滑脱な、というより魅力をもった声の主だ。彼女の顔かたちが豊艶なように、その肉声も艶美だ。目をつぶって聴いていると、阪地の人特有な、艶冶(えんや)な媚(こび)がふくまれている。
|
|