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八面六臂
はちめんろっぴ
一人で数人分の働きをし、多方面に目ざましい手腕を発揮すること。
⇒ 三面六臂 ⇒ 八面六臂
作家
作品

太宰治

【桜桃】

 夏、家族全部三畳間に集まり、大にぎやか、大混乱の夕食をしたため、父はタオルでやたらに顔の汗をき、
「めし食って大汗かくもげびた事、と柳多留やなぎだるにあったけれども、どうも、こんなに子供たちがうるさくては、いかにお上品なおとうさんといえども、汗が流れる」
 と、ひとりぶつぶつ不平を言い出す。
 母は、一歳の次女におっぱいを含ませながら、そうして、お父さんと長女と長男のお給仕をするやら、子供たちのこぼしたものを拭くやら、拾うやら、鼻をかんでやるやら、 八面六臂はちめんろっぴのすさまじい働きをして、
「お父さんは、お鼻に一ばん汗をおかきになるようね。いつも、せわしくお鼻を拭いていらっしゃる」

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宮本百合子

【裏毛皮は無し ――瀧田菊江さんへの返事――】

 ガソリン払底は、なるほど、郊外の奥にお住居だし、お仕事の関係上、直接でしょう。でもあなたのハンド・バッグのなかは豊富で、汽車がひっくりかえったときの内田さんのように、いくらでもとおっしゃるとすれば、マア豪勢みたいなものではないの。
 私の方の状態は、先ず大笑一番しなければ、ものも云えないような有様でね。おかしいでしょう。八面六臂的欠乏で困ります。原稿紙というものが、この節ではなかなか只ごとならないものになって参りました。何しろちり紙から心配という次第ですから。こんなさっぱりと四角い紙に気持よく朱の線の通っている原稿紙がやがて、昔話になるかもしれませんね。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28