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三面六臂
さんめんろっぴ
一人で数人分の働きをし、多方面に目ざましい手腕を発揮すること。
⇒ 三面六臂 ⇒ 八面六臂
作家
作品

芥川龍之介

【地獄変】

「私はくろがねくさりいましめられたものを見た事がございまする。怪鳥に悩まされるものゝ姿も、つぶさに写しとりました。されば罪人の呵責かしやくに苦しむ様も知らぬと申されませぬ。又獄卒は――」と云つて、良秀は気味の悪い苦笑を洩しながら、「又獄卒は、夢現ゆめうつゝに何度となく、私の眼に映りました。或は牛頭ごづ、或は馬頭めづ、或は三面六臂さんめんろつぴの鬼の形が、音のせぬ手を拍き、声の出ぬ口を開いて、私をさいなみに参りますのは、殆ど毎日毎夜のことと申してもよろしうございませう。――私の描かうとして描けぬのは、そのやうなものではございませぬ。」

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田中貢太郎

【竈の中の顔】

「首がございます、生首なまくびが」
「そうか」
 三左衛門はって往った。怪しい黒ずんだ風変りな仏像の前に、前方向むこうむきにした男髷おとこまげの首がえてあった。
「よし、その包みを持って来い」
 三左衛門は若党の手から紙包をって、それを仏像と首との間に置いた。仏像は眼のぎらぎら光る三面六臂さんめんろっぴの奇怪なものであった。

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中里介山

【大菩薩峠 椰子林の巻】

この娘は山方でも、家柄のいいところへ生れたのですが、労働をいとわないのみならず、労働に慣れておりましたから、ほんとうにここでは三面六臂さんめんろっぴの働きをします。口数が少なくて、働くことは三人前もしますから、この点に於ても申し分はありません。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28