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紛然雑然
ふんぜんざつぜん
⇒ 雑然紛然 ⇒ 紛然雑然
作家
作品

夏目漱石

【趣味の遺伝】

この若旦那が制服を着けて学校へ出ると、向うの小間物屋のせがれと席をならべて、しかもその間に少しも懸隔のないように見えるのはちょっと物足らぬ感じがするだろう。余の浩さんにおけるもその通り。浩さんはどこへ出しても平生の浩さんらしくなければ気が済まん。擂鉢すりばちの中にき廻される里芋さといものごとく紛然雑然とゴロゴロしていてはどうしても浩さんらしくない。だから、何でも構わん、旗を振ろうが、剣を かざそうが、とにかくこの混乱のうちに少しなりとも人の注意をくに足るはたらきをするものを浩さんにしたい。

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二葉亭四迷

【浮雲】

商賈しょうこも出た負販ふはんの徒も出た。人の横面そっぽう打曲はりまげるが主義で、身を忘れ家を忘れて拘留のはずかしめいそうな毛臑けずね暴出さらけだしの政治家も出た。猫も出た杓子しゃくしも出た。人様々の顔の相好すまい、おもいおもいの結髪風姿かみかたち聞覩ぶんとあつまる衣香襟影いこうきんえい紛然雑然として千態 万状ばんじょう、ナッカなか以て一々枚挙するにいとまあらずで、それにこの辺は道幅みちはば狭隘せばいので尚お一段と雑沓ざっとうする。

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小島烏水

【不尽の高根】

江戸時代の神社仏閣の御手洗みたらしにかけてある奉納手ぬぐいを、至るところの休み茶屋や、室で見ることである。多くは講中の名を記したものだが、藍、黄、白、黒、柿色などで染抜いた手拭が、秋林の朽ち葉落葉の紛然雑然たるが如く、雲の飛ぶ大空の下、簡単にして大まかなる、富士の大斜線に、砂の如く点ずるところの、室の 軒端のきばひるがえっているのは、東海道五十三次の賑わいを、眼前に見る如く、江戸時代以来、伝統の敬神風俗を、この天涯の一角に保存する如く、浮世絵式風景を、日本の一特色として再現せられたる如くに、新帰朝者の眼に映じたのであった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28