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無知蒙昧
むちもうまい
作家
作品

伊丹万作

【政治に関する随想】

 現在の劣悪な候補者の多くは、明らかにこのような民衆の無知蒙昧を勘定に入れ、それを足場として一勝負やるために現われてきたものである。すなわち、彼らの自信の強さは、おそらく民衆の無知に正比例していると考えられるが故に、もしも、今後民衆に対する政治的教化が進歩し、民衆の政治意識が健全に発育すれば、彼らの大部分は自信を喪失して次第に消散するであろう。

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岡本綺堂

【探偵夜話】

 こういうと、僕の生まれ故郷の人間はひどく無知蒙昧のように思かれるかも[#「思かれるかも」はママ]知れないが、なにしろまだ明治十四五年頃の田舎のことで、しかもその近所には九尾きゅうびの狐で有名な那須野ヶ原がある。前にもいった通り、狸が尼僧に化けていたという古い伝説もある。そうした空気のなかで育てられたその当時の人たちが、こういう考えをいだ くのはあながちに笑うべきではあるまいと、僕は郷里の人間を代表してここに一応の弁解をのべて置きたい。

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Last updated : 2024/06/28