ご利用について
参考書
四字熟語  を     表示  件
このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
無我夢中
むがむちゅう
作家
作品

芥川龍之介

【トロッコ】

 良平は少時しばらく 無我夢中に線路の側を走り続けた。その内にふところの菓子包みが、邪魔になる事に気がついたから、それを路側みちばたり出す次手ついでに、板草履いたぞうりも其処へ脱ぎ捨ててしまった。

青空文庫で読む  

中島敦

【山月記】

 今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふとを覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中からしきりに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。無我夢中で駈けて行く中に、 何時いつしか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地をつかんで走っていた。

青空文庫で読む  

永井荷風

【にぎり飯】

夜通し吹荒れた西南の風に渦巻く烟の中を人込みに揉まれ揉まれて、後へも戻れず先へも行かれず、押しつ押されつ、喘ぎながら、人波の崩れて行く方へと、無我夢中に押流されて行くよりしやうがなかつたのだ。する うち人込みがすこしまばらになり、息をつくのと、足を運ぶのが大分楽になつたと思つた時には、もう一歩も踏出せないほど疲れきつてゐた。

青空文庫で読む  

坂口安吾

【愉しい夢の中にて】

 それから私達は、同じ悪戯をくりかへして無我夢中の有頂天の中を歩いてゐたのだつた。夢はそこで終る。毎日の悪夢とはまるで別な、私には稀な楽しい夢であつた。 しかしあの夢の中でも、私はやはり退屈してゐたやうに覚えてゐる。無理に有頂天にならうとしてゐた。

青空文庫で読む  

原民喜

【ヒロシマの声】

 私がもっとも心打たれたのは、講演会の後で行われた原爆体験者たちとの座談会であった。あの当時、一週間あまりというものは、まるで睡眠もとれず、負傷者の手あてに無我夢中だったという日赤の看護婦さんの声は、回想談でありながら、熱涙にふるえていた。

青空文庫で読む  

岡本かの子

【或る男の恋文書式】

 お別れしてから、あの煙草屋の角のポストの処まで、無我夢中で私が走つたのを御存じですか。あれはあなたにお別れしたくない心が、一種の反動作用を、私の行為の上に現はしましたの。それから私、走りながらも夢中の夢のやうに考へましたことは私がもし一寸でもふりかへつたら私はまたあなたの方へ……

青空文庫で読む  

小山内薫

【今戸狐】

濁水だくすいがゴーゴーという音を立てて、隅田川すみだがわの方へ流込ながれこんでいる、致方しかたがないので、衣服きものすそを、思うさま絡上まくりあげて、何しろこの急流ゆえ、流されては一大事と、犬の様に四這よつんばいになって、折詰は口にくわえながら無我夢中、一生懸命になって、「 危険あぶない危険あぶない」と自分で叫びながら、ようやく、向うの橋詰はしつめまでくると、

青空文庫で読む  

豊島与志雄

【山上湖】

 道路の片側に、小さな溝があり、養魚池から来る水がちょろちょろ流れている。この僅かな水流にまで、鱒はさか上ってくることがある。湖水にそそぐ土管をくぐり、瀬を跳ねあがり、窪み窪みを辿って、浅いところは背中を半ば出して砂上を匐うように泳ぎ、産卵のためにさか上ってくる。そういう一匹を私は見つけた。それは本能からであろう。無我夢中でもあろう。然しなんという勇敢な積極的なことか。それは恋愛をする女性の姿だ。

青空文庫で読む  

永井隆

【長崎の鐘】

 今日は患者の収容に暮れる。空はからりと晴れて魔雲は東方に去り、灼熱の太陽は地を埋める熱灰のほてりとの間に私たちをはさんで、浦上はまるで天火のかまどである。昨日炎を逃れ、死の手を脱し、無我夢中で突っ走った人々は、やれ安心と腰をおろした所が最後の地となって、そのままそこの岩かげ木かげに倒れたきり身動きもできなくなって、ある者はいつの間にか息絶え、ある者は 末期まつごの水を求め、ある者はただ呻いている。

青空文庫で読む  

堀辰雄

【幼年時代】

私はただもう泣き出したくなるようなのをやっと我慢しながら、真鍮の迷子札をしっかりと握りしめて、無我夢中になって歩いて行った。しまいには殆ど走るようにして行った。そうしたらやっとのことでおばさんの家が見え出した。その垣根の中では、おばあさんが丁度干し物を取り込んでいた。

青空文庫で読む  

 
  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

おすすめサイト・関連サイト…

Last updated : 2024/06/28