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無我夢中
むがむちゅう |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【トロッコ】
良平は |
中島敦 |
【山月記】
今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと |
永井荷風 |
【にぎり飯】
夜通し吹荒れた西南の風に渦巻く烟の中を人込みに揉まれ揉まれて、後へも戻れず先へも行かれず、押しつ押されつ、喘ぎながら、人波の崩れて行く方へと、無我夢中に押流されて行くよりしやうがなかつたのだ。する
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坂口安吾 |
【愉しい夢の中にて】
それから私達は、同じ悪戯をくりかへして無我夢中の有頂天の中を歩いてゐたのだつた。夢はそこで終る。毎日の悪夢とはまるで別な、私には稀な楽しい夢であつた。
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原民喜 |
【ヒロシマの声】
私がもっとも心打たれたのは、講演会の後で行われた原爆体験者たちとの座談会であった。あの当時、一週間あまりというものは、まるで睡眠もとれず、負傷者の手あてに無我夢中だったという日赤の看護婦さんの声は、回想談でありながら、熱涙にふるえていた。
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岡本かの子 |
【或る男の恋文書式】
お別れしてから、あの煙草屋の角のポストの処まで、無我夢中で私が走つたのを御存じですか。あれはあなたにお別れしたくない心が、一種の反動作用を、私の行為の上に現はしましたの。それから私、走りながらも夢中の夢のやうに考へましたことは私がもし一寸でもふりかへつたら私はまたあなたの方へ……
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小山内薫 |
【今戸狐】
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豊島与志雄 |
【山上湖】
道路の片側に、小さな溝があり、養魚池から来る水がちょろちょろ流れている。この僅かな水流にまで、鱒はさか上ってくることがある。湖水にそそぐ土管をくぐり、瀬を跳ねあがり、窪み窪みを辿って、浅いところは背中を半ば出して砂上を匐うように泳ぎ、産卵のためにさか上ってくる。そういう一匹を私は見つけた。それは本能からであろう。無我夢中でもあろう。然しなんという勇敢な積極的なことか。それは恋愛をする女性の姿だ。
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永井隆 |
【長崎の鐘】
今日は患者の収容に暮れる。空はからりと晴れて魔雲は東方に去り、灼熱の太陽は地を埋める熱灰のほてりとの間に私たちをはさんで、浦上はまるで天火のかまどである。昨日炎を逃れ、死の手を脱し、無我夢中で突っ走った人々は、やれ安心と腰をおろした所が最後の地となって、そのままそこの岩かげ木かげに倒れたきり身動きもできなくなって、ある者はいつの間にか息絶え、ある者は
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堀辰雄 |
【幼年時代】
私はただもう泣き出したくなるようなのをやっと我慢しながら、真鍮の迷子札をしっかりと握りしめて、無我夢中になって歩いて行った。しまいには殆ど走るようにして行った。そうしたらやっとのことでおばさんの家が見え出した。その垣根の中では、おばあさんが丁度干し物を取り込んでいた。
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