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無始無終
むしむしゅう
作家
作品

芥川龍之介

【大川の水】

ことに大川は、あかちゃけた粘土の多い関東平野を行きつくして、「東京」という大都会を静かに流れているだけに、その濁って、しわをよせて、気むずかしいユダヤの老爺ろうやのように、ぶつぶつ口小言を言う水の色が、いかにも落ついた、人なつかしい、手ざわりのいい感じを持っている。そうして、同じくまちの中を流れるにしても、なお「海」という大きな神秘と、絶えず直接の交通を続けているためか、川と川とをつなぐ掘割の水のように暗くない。眠っていない。どことなく、生きて動いているという気がする。しかもその動いてゆく先は、無始無終にわたる「永遠」の不可思議だという気がする。吾妻橋、 厩橋うまやばし、両国橋の間、香油のような青い水が、大きな橋台の花崗石かこうせきとれんがとをひたしてゆくうれしさは言うまでもない。

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寺田寅彦

【俳句の精神】

 われわれにとっては「荒海」は単に航海学教科書におけるごとき波高く舟行に危険なる海面ではない。四面に海をめぐらす大八州国おおやしまのくにに数千年住み着いた民族の遠い祖先からの数限りもない海の幸いと海のわざわいとの記憶でいろどられた無始無終の絵巻物である。そうしてこの荒海は一面においてはわれわれの眼前に展開する客観の荒海でもあると同時にまたわれわれの頭脳を通してあらゆる過去の日本人の心にまで広がり連なる主観の荒海でもあるのである。

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狩野亨吉

【安藤昌益】

是れ己れ衆の上に立たんが為め、私法を以て転下に道を失る根源なり矣。是より上下私欲を争い、乱世の始本と為す。而して今の世に至るも止むこと無し。拙い哉、自然を失る哉。自然は無始無終にして五行一真感神の霊活にして、進退に通横逆の運回を尽して、転定人物と為す。故に転定は自然の進退退進にして無始無終、無上無下、無尊無賤、無二にして進退一体なり。故に転定先後ある者に非ざるなり。唯自然なり。

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宮本百合子

【C先生への手紙】

 私心ないと云う事、我見のないと云う事は、自分の持って居る或る箇性、人間性を、絶大なフ遍性と同一させた境地でございましょう。「我」と云う小さい境を蹴破って一層膨張した我ではございますまいか。その境で、人はもう、小さい「俺」や「私」やにはなやまされては居ません。けれども、天神の眼を透す、総ての現象は、天地を蓋う我から洩れる事はございません。地を這う蟻の喜悦から、星のついえる悲哀まで、無涯の我に反映して無始無終の彼方に還るのではございますまいか。

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岡本かの子

【花は勁し】

 花は一つも頷かない。
 たゞ、「吽! 吽!」と力声を出して、白玉の汗をきらり/\滴らしてゐる。
 ひよつとしたら花は思想以前のものであらうか、実感上に蟠る、無始無終、美の一大事因縁なのではあるまいか。一大因縁なるがゆゑに、誰人もこの美をどうすることも出来ない。とすれば、それは既に地上の重大な力でもあるか。

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戸坂潤

【科学論】

時間は永遠に対する対立物であるにも拘らず、時間そのものは永遠の静止だとも考えられねばならぬ。時間は無始無終の永久に閉じることのない線でなければならぬに拘らず、永遠の静止であるからには、閉じたものでなければならぬ、

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加藤弘之

【進化学より見たる哲学】

 評者又曰余輩がマテリーとエネルギーとの合一体とする所の宇宙本体は全宇宙即ち諸天体に通じて皆同一にして此合一体が諸天体の成立を営むのであるから決して諸天体の上にも又其外にも存在するものではないのであるが此宇宙本体は始め天体成立の際には仍ほ頗る未進化未発展の状態であるけれども、それより絶えず進化発展して遂に又其天体の滅絶に至り消散し更に新天体の成立を営むことになるのである、凡そ此空間には無類の天体が終始交生滅長消して居るのであるから宇宙本体の変化は無始無終に行はれつつあるも本体それ自身は終始恒存して居るのであると思ふ、而して其変化が自然法即ち因果法に支配されて起る所の現象であると余は信ずるのである、果して然らば此宇宙本体が即ち実在(最も活動的の)にして此外に絶て静的実在なるものの存すべき道理を発見することは出来ぬのであらうと考へる。

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Last updated : 2024/06/28