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無色透明
むしょくとうめい |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【安吾巷談 湯の町エレジー】
人間がみんな聖人になり、この世に悪というものがなくなったら幸福だろうと思うのは、茶飲み話しの空想としては結構であるが、大マジメな論議としては、正当なものではないだろう。人間のよろこびは俗なもので、苦楽相半ばするところに、あるものだ。悪というものがなくなれば、おのずから善もない。人生は水の如くに無色透明なものがあるだけで、まことにハリアイもなく、生きガイもない。眠るに如かずである。
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種田山頭火 |
【其中日記 (八)】
四月十一日 曇、身心すぐれず。しようことなしにポストまで、そして米と油とを買うて戻つた。 無味無臭、無色透明の世界に住みたい。 水、餅、豆腐、飯。…… |
和辻哲郎 |
【歌集『涌井』を読む】
どんなに |
神西清 |
【わが心の女】
僕はまた、ほとんど毎晩のやうに、一流の劇場のボックスに納まつた。そこでは、盛装を凝らした紳士淑女の姿に接することができる。盛装とは言つても、もちろん男子服はあくまで無色透明、婦人服は淡青色透明のガラス織であることは変りはない。その代り様々のアクセッサリーの趣向にかけて、特に女性は恐らく世界最高の
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徳冨盧花 |
【水汲み】
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北大路魯山人 |
【だしの取り方】
昆布のだしを取るには、まず昆布を水でぬらしただけで一、二分ほど間をおき、表面がほとびた感じが出た時、水道の水でジャーッとやらずに、トロトロと出るくらいに昆布に受けながら、指先で器用にいたわって、だましだまし表面の砂やゴミを落とし、その昆布を熱湯の中へサッと通す。それでいいのだ。これではだしが出たかどうか、心配なさるかも知れない。出たか出ないかはちょっと汁を吸ってみれば、無色透明でも、うま味が出ているのがわかる。量はどのくらい入れるかは実習すれば、すぐにわかる。このだしはたいのうしおなどの時はぜひなくてはならない。
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太宰治 |
【春の枯葉 ―――一幕三場】
(野中) サントリイウイスキイ。(と言いながら一升瓶を目の高さまで持ち上げ、電燈の光にすかして見て)無色透明なるサントリイウイスキイ。一升百五十円。
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海野十三 |
【崩れる鬼影】
全く不思議です。盥位の大きさのものをこの室内から外に投げたと思われるのに、それが見えなかったというのは、どうしたわけでしょう。――そうだ。こういうことが考えられるではありませんか。しかしながら、そんな大きい無色透明の物体なんて |
宮本百合子 |
【伊太利亜の古陶】
晨子は、静かな、おっとりした何でもひとまかせな性質であった。はっきりした欠点は一つもない代り、紹介する時とり立てて相手の興味を「あれは幾つになっても無色透明だな。あれでもよしわるしだ」 と述懐した、その通りの娘なのであった。どうかして、難しい小姑という地位に置かれないうち、自分だけ幸福に見すてられたと妹の島田を見て思わないうち、晨子の運命を明るくしたいという親心を、日下部太郎は同情を以て推察した。 |
小出楢重 |
【めでたき風景】
私は友人を招いて水面を指した、彼はなるほどといってまた他を招いた、三人は折重って倒影の去来を楽しむのであったが、時々水を |
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