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応病与薬
おうびょうよやく |
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作家
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作品
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中里介山 |
【大菩薩峠 農奴の巻】
私のような、人にも神にも見放されました不具の身は格別と致しまして、およそ五体が満足でありさえ致せば、いかなる人も農を楽しんで楽しめないはずはないのでございます。他の楽しみは、おのおのその天分気分にもよりましょうけれど、農ばかりは、誰もこれを働き、誰もこれを楽しんで、そうして、自他共に、他に迷惑をかけることの微塵もない職業なのでございます。農業の苦痛を説くのも、時によっては当然の応病与薬でございますが、諸葛孔明の心を以て、農を楽しむことを万人に教えて悪いということはございますまい……と私は考えますのでございます」
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