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懊悩煩悶
おうのうはんもん
作家
作品

清水紫琴

【一青年異様の述懐】

ああ予は彼女に、高潔なる愛情を有する点においては、恐らく予に及ぶ者なかるべしと、自らも信ずれど、ただ予が元来武骨者にして、その方法を知らざるに苦しむなり、予が数日来の懊悩煩悶は、即ちこれに外ならず。なほ一言すれば、予は彼女をば。失望の中に救ひて、多望円満の人とならしめずんば、とうてい心を。安んずることあたはざるなり。

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Last updated : 2024/06/28