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臨機応変
りんきおうへん |
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作家
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作品
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福沢諭吉 |
【学問のすすめ】
無識無学の婦女子群居して無智無徳の一主人に仕え、勉強をもって賞せらるるにあらず、懶惰(らんだ)によりて罰せらるるにあらず、諫(いさ)めて叱らるることもあり、諫めずして叱らるることもあり、言うも善し言わざるも善し、詐(いつわ)るも悪し詐らざるも悪し、ただ朝夕の臨機応変にて主人の寵愛を僥倖(ぎょうこう)するのみ。 |
福沢諭吉 |
【学問の独立】
もとより学問の事なれば、行政官の学校に学ぶも、またいずれの学問所に学ぶも同様なるべきに似たれども、政治社会の実際において然らざるものあり。けだし国の政事は、前にもいえる如く、今日の人事にあたりて臨機応変の処分あるべきものにして、たとえば饑饉には救恤(きゅうじゅつ)の備えをなし、外患(がいかん)には兵馬を用意し、紙幣下落すれば金銀貨を求め、貿易の盛衰をみては関税を上下する等、俗言これを評すれば掛引(かけひき)の 忙わしきものなるがゆえに、もしも国の学校を行政の部内に入るるときは、その学風もまた、おのずからこの掛引のために左右せらるるなきを期すべからず。掛 引は日夜の臨機応変にして、政略上にもっとも大切なる部分なれば、政治家の常に怠るべからざる事なれども、学問は一日一夜の学問に非ず、容易に変易すべか らざるなり。 |
夏目漱石 |
【坑夫】
要するに御腹(おなか)が減って飯が食いたくなって、御腹が張ると眠くなって、窮(きゅう)して濫(らん)して、達して道を行(おこな)って、惚(ほ)れていっしょになって、愛想(あいそ)が尽きて夫婦別れをするまでの事だから、ことごとく臨機応変の沙汰(さた)である。 |
夏目漱石 |
【三四郎】
もっとも今夜中にそこまでは運ばないかもしれない。また運ぶ必要もない。そのへんは臨機応変である。…… |
夏目漱石 |
【行人】
父は交際家だけあって、こういう妙な話をたくさん頭の中にしまっていた。そうして客でもあると、献酬(けんしゅう)の間によくそれを臨機応変に運用した。多年父の傍(そば)に寝起(ねおき)している自分にもこの女景清(おんなかげきよ)の逸話は始めてであった。自分は思わず耳を傾けて父の顔を見た。 |
尾崎紅葉 |
【金色夜叉】
「これは外の談判と違つて唯金銭(かね)づくなのだから、素手(すで)で飛込むのぢや弁の奮(ふる)ひやうが無いよ。それで忽諸(まごまご)すると飛んで火に入る夏の虫となるのだから、まあ君が行つて何とか話をして見たまへ。僕は様子を立聞して、臨機応変の助太刀(すけだち)を為るから」 |
正岡子規 |
【ベースボール】
しかれども球戯(きゅうぎ)は死物にあらず防者にありてはただ敵を除外ならしむるを唯一の目的とするをもってこれがためには各人皆臨機応変の処置を取るを肝要(かんよう)とす。 |
正岡子規 |
【墨汁一滴】
故に茶人の茶を玩(もてあそ)ぶは歌人の歌をつくり俳人の俳句をつくるが如く常に新鮮なる意匠を案出し臨機応変の材を要す。四畳半の茶室は甚だ妙なり。 |
幸田露伴 |
【蒲生氏郷】
伊勢父子がドジを踏んでマゴマゴすれば蒲生は之を捨てて置く訳にはゆかぬ、伊勢父子の居る地方と蒲生の会津とは其間遥に距(へだた)って居るけれども必ず見継ぐだろう。蒲生が会津を離れて動き出せば長途の出陣、不知案内の土地、臨機応変の仕方は何程も有ろう、木村蒲生に味噌を附けさせれば好運は自然に此方へ転げ込んで来る理合だ、という様な料簡は自も存したことであろう。 |
岡本かの子 |
【慈悲】
然し、原則というのは結局原則であります。ものごとが凡て、原則どおり単純に行って済むのなら世の中は案外やさしいものです。お医者でも原則通りですべて病人が都合よく処理出来るなら、どのお医者でもみな病理学研究室に閉じこもって居れば世話はありません。なにも、面倒な臨床学など習って実地研究の何年間など |
坂口安吾 |
【二流の人】
主に対しては忠、命をすてゝ義をまもる。そのくせ、どうも油断がならぬ。戦争の巧いこと、戦略の狡猾なこと、外交かけひきの妙なこと、臨機応変、奇策縦横、行動の速力的なこと、見透しの的確なこと、話の外である。 |
織田作之助 |
【雪の夜】
「まあ、知ったはりまんのん?」同じ傘の中の女は土地の者だが、臨機応変の大阪弁も使う。すると、客は、 「そや、昔の友達や」 |
豊島与志雄 |
【蛸の如きもの】
夢を持つには、平素の心掛けが第一であろうが、然し、時と場合によって、臨機応変の方策がないでもなかろう。 |
佐左木俊郎 |
【或る嬰児殺しの動機】
第一の道がもし交通を遮断すれば、第二の道へ、第二の道でもまた何かの偶発事から交通を遮断するようなことがあればさらに第三の道へと、彼らは臨機応変に処置して入場時刻に遅れない方策を用意していた。 |
岡本綺堂 |
【半七捕物帳 化け銀杏】
「大切なお品を半金に値切り倒すといっては、先様(さきさま)の思召(おぼしめ)しがどうあろうも知れない。万一それで御相談が折り合わないようであったならば、三百五十両までに買いあげていい。ほかの番頭どもには内証で、別に百両をおまえにあずけるから、臨機応変でいいように頼むよ」 |
海野十三 |
【空襲葬送曲】
「おう、吉奈軍曹。至急偵察を命ずる。放送局裏に、不可解(ふかかい)の部隊が集結しているぞ。突入(とつにゅう)誰何(すいか)しろ。友軍だったら、短銃(ピストル)を二発射て。怪しい奴だったら、三発うて。避難民だったら、四発だ。時節がら、怪しい奴かも知れぬから、臨機応変、細心に観察して、判ったら直ぐ知らせろッ」 |
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