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流連荒亡
りゅうれんこうぼう
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作家
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作品
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【将来の日本】
鈎を窃む者は誅、国を窃む者は侯、侯の門仁義存す。いかにその食は一羹一菜に限り、その服は綿衣に限るもその結果はただ生活の不愉快を感ずるのみ。その倹約我においてなんの利益かある。いかに酒池肉林・流連荒亡の楽しみをなすもただ生活の愉快を感ずるのみ。その驕奢我においてなんの損害かある。それ一方においては無限の権利者たらしめ、一方においては無限の義務者たらしめ、しかしてその主人に責むるにその奴隷を善待すべきをもってす。あにまた愚ならずや。
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【三十年前の島田沼南】
忠孝の結晶として神に祀られる乃木将軍さえ若い頃には盛んに柳暗花明の巷に馬を繋いだ事があるので、若い沼南が流連荒亡した半面の消息を
剔抉しても毫も沼南の徳を傷つける事はないだろう。沼南はウソが嫌いであった。「私はウソをいった事がない」と沼南自身の口ずから聞いたのは数回に留まらない。瑜瑕並び覆わざる赤裸々の沼南のありのままを正直に語るのは、沼南を唐偏木のピューリタンとして偶像扱いするよりも苔下の沼南は微笑を含んでかえって満足するであろう。
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【顎十郎捕物帳 紙凧】
脇坂の部屋を振りだしに榎坂の山口周防守の大部屋、馬場先門の土井大炊頭、水道橋の水戸さまの部屋というぐあいに順々にまわって、十日ほど前から、この松平佐渡守の中間部屋に
流連荒亡している。
顎十郎は、色のいい蜜柑を手の中でころがしながら、
「おい、三平、これが鞴祭の蜜柑か」
「へい」 |
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Last updated : 2024/06/28