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深謀遠慮
しんぼうえんりょ
 ⇒ 深謀遠慮 ⇒ 遠慮深謀
作家
作品

中島敦

【盈虚】

 宋にはしり、続いてしんに逃れた太子蒯聵かいがいは、人毎に語って言った。淫婦刺殺という折角せっかくの義挙も臆病な莫迦ばか者の裏切によって失敗したと。これも矢張衛から出奔した戯陽速が此の言葉を伝え聞いて、う酬いた。とんでもない。こちらの方こそ、すんでの事に太子に裏切られる所だったのだ。太子は私を脅して、自分の義母を殺させようとした。承知しなければ屹度きっと私が殺されたに違いないし、もし夫人を巧く殺せたら、今度は必ず其の罪をなすりつけられるに決っている。私が太子の言を承諾して、しかも実行しなかったのは、深謀遠慮の結果なのだと。

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坂口安吾

【狼園】

 当然本邸に附属して建てらるべきアトリヱをだうしてわざわざ遠い郊外へ運びだしたか? これには芹沢東洋の深謀遠慮と、充分の必要があるのだつた。このアトリヱは愈々蕗子が彼のものに定まつたとき、倉惶そうこう として工を急がせアラヂンの城の如くに建てられたものだ。かう言へば直ちにそれと気付かれた読者もあらうが、要するに、絵の制作は第二として、妻子の眼には怪しまれず毎日蕗子を訪れるためには、不便な郊外に独立したアトリヱを建てることが必要であつた! そして又当然アトリヱに居るべき筈の東洋が実は年中不在であつても、不時の急場に誰怪しまれぬ言訳けもしてくれ仕事の応接もしてくれる腹心の留守番が必要であつた。

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福沢諭吉

【教育の事】

家を移すに豆腐屋と酒屋の遠近をば念を入れて吟味し、あるいは近来の流行にて空気の良否など少しく詮索せんさくする様子なれども、肺に呼吸する空気を論ずるを知りて、子供の心に呼吸する風俗の空気を論ずる者あるを聞かず。世の中には宗旨を信心して未来を祈る者あり。その目的は死後に極楽に往生していわゆる「パラダイス」の幸福をけんとの趣意ならん。深謀遠慮というべし。されども不良の子に くるしめらるるの苦痛は、地獄の呵嘖かしゃくよりも苦しくして、しかも生前現在の身を以てこの呵嘖に当たらざるを得ず。余輩えて人の信心を妨ぐるにはあらざれども、それ程にまで深謀遠慮あらば、今少しくその謀を浅くしその慮を近くして、目前の子供を教育し、先ず現世の地獄を のがれて、然る後に未来の極楽をもねらいたきものと思うなり。

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菊池寛

【真田幸村】

 この会談の場所は、佐野天妙であるとも云い、犬伏いぬぶしと云う所だと云う説もある。此の兄弟の激論は、恐らく後人の想像であろうと思う。信幸も幸村も、既に三十を越して居り、深謀遠慮の良将であるから、そんな激論をするわけはない。まして、父と同意見の弟に斬りかけようとするわけはない。必ず、しんみりとした深刻な相談であったに違いない。

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幸田露伴

【努力論】

今若し劔を執つて人と相鬪つて居るとすれば、一念のれると同時に、斬り殺されて仕舞ふべきなのであるでは無いか。今若し此のチラ/\チラ/\する心で碁を圍むとする時は、必らず深謀遠慮の有る手段は案じ出し得ぬであらうでは有るまいか。イヤ、思はず識らずウツケ千萬な、ヌカリ切つて へたた石を下しさうな事では有るまいか。

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中里介山

【大菩薩峠 弁信の巻】

 最初出発の時、あの青竹へ商売物の匙をくっつけたのは、何のおまじないかと思案に余り、それをまた、ワザワザ道中かつぎ廻ってここまで来たのは全く判じきれない所業と思っていたのに、今になってはじめてそれと分った。
 道庵の匙加減を見ろ、すべて道庵の匙にかかって助かった奴は一人もねえ――それを言いたいためなのだ、それを言いたいために、こういうこともあろうかとの深謀遠慮が、今になって とくと腑に落ちた。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28