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粗忽千万
そこつせんばん
作家
作品

中里介山

【大菩薩峠 恐山の巻】

 あの際、紛失したのか、或いはここを出て暫く行く間に取落しでもしたものか、いずれにしても、粗忽千万そこつせんばんとがは免れない。隙のないようでも、若い者の手はどこか漏れるところがある。これから先、山河幾百里の関柵かんさくをあけて通る鍵だ。その唯一の旅行免状を取落して何になる。これではさすがの強情者も、浮かぬ面をして取って返さざるを得ない出来事だと、白雲も思いやりました。

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高村光太郎

【気仙沼】

 柳田國男先生の「雪国の春」という書物をかねて愛読していた私は粗忽千万にも気仙沼あたりに来ればもうそろそろ「金のベココ」式な遠い日本の、私等の細胞の中にしか今は無いような何かしらがまだ生きているかも知れないなどと思っていた。気仙沼には近年大火があったという。大火はほんとに業をする。

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国枝史郎

【娘煙術師】

一人の若衆武士が、佐久間町のほうから風のように、二人のほうへ走って来たが、美作の身体へぶつかったのであった。
「無礼者めが! 粗忽千万!」
「火急の場合、お許しのほどを……」

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28