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暖衣飽食 だんいほうしょく ⇒ 暖衣飽食 ⇒ 飽食暖衣 |
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作家
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作品
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永井荷風 |
【断腸亭日乗 断腸亭日記巻之三大正八年歳次己未】
朝の中褥中に在りて読書す。感興年と共に衰へ、創作の意気今は全く消磨したり。読書の興も亦従つて倦みがちなり。新聞紙の記事によりて世間の事を推察するに、天下の人心日に日に兇悪となり富貴を羨み革命の乱を好むものゝ如し。余此際に当りて一身多病、何等のなす所もなく、唯先人の遺産を浪費し暖衣飽食空しく歳月を送るのみ。胸中時として甚安ぜざるところあり。
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岡本かの子 |
【慈悲】
彼の放浪的な運命をつくった性格を |
坂口安吾 |
【帝銀事件を論ず】
私は政治家が、政治家的ルートによって暖衣飽食していることをとがめたいとは思わぬ。むしろ暖衣飽食すべきだと思う。かつての米内大将のごとくに、ゾースイをすすり、国民に範をたれるのも、その人格の高潔なる、まことに有難いことだけれど、しかし、政治は清貧を事とする無策なものでは困るのである。たとえば、さきに餓死した判事のごとき人物が首相となり、窮乏の時であるから遅配に我慢せよ、余が範をたれると称して餓死されては、国民たるもの、降参せざるをえない。無策のシムボルとして自ら清貧の範をたれるのは、政治ではない。その有策のゆえに選ばれ、国民の輿望を担うて策を施すのが、政治家というものだ。しかし、自分が暖衣飽食する以上、それについての内省を忘れてはならぬ。私は暖衣飽食とはゆかないけれども、千八百円ベースの人々にくらべれば、はるかにゼイタクな暮しをしているであろう。概ね小説家はそうである。闇屋もそうである。飲食店のオヤジも、パンパンも、そうである。そうであるからわれわれは、人々に窮乏に堪えよ、などとは説きはせぬ。もしも私が、読者にむかって、耐乏生活の小説などを書き、ヤミの悪徳を説いたなら、文士としては しかるに、政治家のみは、自らは暖衣飽食しながら、国民に向って、ヤミ屋は国賊だといい、千八百円ベースの配給生活に耐えざるものは罪人であるかのごとくいう。かかることを公言して愧死した政治家も官僚もおらず、失脚した政治家もおらぬ。 千八百円の配給生活では、けっして生きてゆかれぬ。現実はそれを明示しており、判事は餓死し、政治家は暖衣飽食しているではないか。しからば、なぜ、政治政策の基本概念として、千八百円の配給では食ってゆかれぬ、各人がその各人のなにかのルートによって生きのびている、その実際を厳しく承認してかからないのか。 |
吉川英治 |
【三国志 篇外余録】
後世の史家は、そのほかにもいろいろ孔明の短所をかぞえあげているが、要するに、国を憂いて |
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