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天地玄黄
てんちげんこう |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【吾輩は猫である】
吾輩の尊敬する尻尾大明神を |
直木三十五 |
【南国太平記】
「うめえことを、云やがったのう。古人って奴は」富士春の坐っている長火鉢の、前と、横にいる若衆の中の一人が、小藤次の家にいる源公の顔を見て、大声を出した。 「何が?――途方もねえ吠え方をして、何を感ずりゃあがった」 「そら、千字文の初めに、天地玄黄、とあらあな。源公」 「何を云やあがる、そりゃ、論語の初めだあな」 「糞くらえ、論語の初まりは山高きが故に尊からずだあ」 「無学文盲は困るて。それは、大学、 「喜句の章じゃあねえ、団子の性だ。団子の性なら転げて来い、師匠の性なら、金持って来い」 「おやっ、もう一度唄って御覧な」 富士春は、口で笑って、眼で睨んだ。一人が 「東西東西、それで、天地玄黄が、何うしたえ」 「天地玄黄の、玄の字は、黒いって字さあね。それ、千年前に、源公は、色が黒いって、古人って奴が、ちゃあんと、物の本に書き残してあるんだ。豪気なもんじゃあねえか」 「成る程、それで感ずりましましたか」 |
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