|
■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
天涯孤独
てんがいこどく |
|
作家
|
作品
|
---|---|
織田作之助 |
【 土曜夫人 】 朝といっても、もう午ちかい。茉莉のアパートを出た京吉は、わびしい顔で河原町の雑閙の中を歩いていた。京吉には両親の記憶はない。兄弟も身寄りもなく、祖母の手に育てられたが、中学校三年生の時にたった一人の肉親のその祖母もなくなり、天涯孤独となった身は放浪生活に馴染み易く、どこへ勤めても尻が落ちつかず、いまだにきまった職がなかった。 |
正岡容 |
【 わが寄席青春録 】 先年、拙著『雲右衛門以後』(浪曲史)出版記念演芸会に森三千代女史は、「私たち夫婦で浪花節のよさを教えると、すぐ小金井太郎と共同生活までしてしまうし、まったく正岡さんという人はハラハラさせる人だけれど、その収穫はこうした一冊になった」 と講演してくだすったが、ほんとうに私に文学の、芸能の、ことに寄席の救いがなかったら、良家に生まれてその家が潰れ、思春期に天涯孤独の身となった自分は、今時分薄志の不良青年となり、与三郎同様、佐渡送りにでもなっていたろう。腕に桜の刺青は入ったが、遠山の金さんのラインで踏み留まることができたのは、再び言うが、文学の、芸能の、寄席のおかげであると言わなければならない。幸いに後継永井啓夫を得た今日、残生の大半を私は寄席文化の普及と探求とに、父子して尽くそう。 |
海野十三 |
【 脳の中の麗人 】 彼は、黒木博士の世話で、目黒区にある彼は、親には早く死にわかれ、兄弟もなければ |
|