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天気晴朗
てんきせいろう |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【吾輩は猫である】
迷亭もこうなると何とか月並の処置を付けなければならぬ仕儀となる。「奥さん、月並と云うのはね、まず年は二八か二九からぬと言わず語らず物思いの |
萩原朔太郎 |
【詩の原理】
日本人の著るしい特色は、 |
豊島与志雄 |
【情意の干満】
人間の生活、その悲惨や桎梏や欲望や希望、その現実と理想とを、私は考えるのである。直接的なもの現実的なものと、間接的なもの理想的なものとの乖離が、不安な焦慮を齎す。現在に対して絶望が頭をもたげ、未来に対して信念が薄らぐ。斯かる一切のものが何の役に立つか。強力な実践的なものが必要なのだ。宝石の光は巖石の重量に及ばない。本日天気晴朗なれども波高し、というのが日本海軍の海戦記の常套語だと聞く。私の心中も、本日天気晴朗なれども波高し。こういう時私は、批評家ではない。珠玉をも瓦礫のなかに蹴やるからである。
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中里介山 |
【大菩薩峠 恐山の巻】
「何々ニ遊ブノ記」の記事文の型も、その前後に流行したもので、われわれ小学生も、必ずその書出しには、「コノ日ヤ天気晴朗」と、「空ニ一点ノ雲無ク」と、「
しかし、今日、このところ、道庵先生のハイキングに当って、天気晴朗にはいささか申し分があるけれども、一瓢を携えたことだけは一点の疑う余地はありません。 |
坂口安吾 |
【真珠】
バスは東海道を走る。松並木に駐在の巡査が出ていた外には、まったく普段に変らない東海道であった。相模湾は沖一面に白牙を騒がせ、天気晴朗なれども波高し、である。だから、この日は漁ができず、国府津にも、二の宮にも、地の魚はなかった。国府津では、兵隊を満載した軍用列車が西へ向って通過した。
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岡本綺堂 |
【綺堂むかし語り】
私は山の手の麹町に生長したせいか、子供の時から鳶なぞは毎日のように見ている。天気晴朗の日には一羽や二羽はかならず大空に舞っていた。トロトロトロと云うような鳴き声も常に聞き慣れていた。鳶が鳴くから天気がよくなるだろうなぞと云った。
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中里介山 |
【大菩薩峠 みちりやの巻】
朝は小河内を早立ちだったものですから、足の達者な上に、気を負う武者修行のことで、ここを通りかかった時分が日盛りで、ことにその日は天気晴朗、高山の上にありがちな水蒸気の邪魔物というのがふきとったように、白根、赤石の連山までが手に取るように輝き渡って見えたということです。
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幸徳秋水 |
【筆のしづく】
五月三日天気晴朗なり、此晨歩して日比谷公園に至れば、数千株の杜鵑花、昨夜の雨に洗はれて、見渡す限り紅氈を敷ける如く、目さむる心地す、楽天の「日は血珠を射て将に地に滴らんとし、風は焔火を翻へして人を焼かんと欲す」の句、何ぞ其妙なるや、恨む枯川をして此美観を貪看せしめ得ざることを。
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山中貞雄 |
【陣中日誌(遺稿) 附・戦線便り】
十六日の朝になってもまだいつ上陸するのか分りません。
天気晴朗ですが波はべら棒に高いです。荷物船の底に馬と一緒に居るのでクサクて閉口です。此処まで来た以上早く支那の土を踏ンでせめて小便ぐらいしてやりたいと思います。
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岡本綺堂 |
【中国怪奇小説集 池北偶談】
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押川春浪 |
【南極の怪事】
もとより客室など云う気のきいたものはなければ、余は船の最も底の倉庫のごとき処に毛布を敷き、そこを居室兼寝室と定めしも、天気晴朗なる日はそのような薄暗き処に閉じこもる必要なし、余は航海中の多くを風清き甲板上に暮すつもりにて、一日も早く世人の知らざる南方の絶島に着し、真珠取りの面白き光景を見んと、それをのみ唯一の楽しみとせしが、あにはからんやこの船こそ、余のためには魔の船となりけり。
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