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天空海闊/天空海濶
てんくうかいかつ |
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作家
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作品
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佐々木邦 |
【 苦心の学友 】 「舟遊びは「先生、浩然の気ってなんでございますか?」 と照彦様がいつになく質問をした。 「 「…………」 「 「…………」 「先生、むずかしいです」 「ハッハハハハ」 と 「先生も釣魚にいらっしゃいませんか?」 と正三君がさそった。 「けっこうですな」 「ぜひおいでください」 と照彦様はからかうつもりだった。 「 「はあ?」 「天のむなしきがごとく海のひろきがごとき心持ちは舟遊びをすると初めて味わわれます」 と安斉先生は大きなことをいいだした。しかし酔って青くなったのを知っている照彦様は 「けれども先生は舟におよわいことはございませんか?」 とやった。 日曜の朝、品川の船宿からこぎだした時、 「 といって、照彦様は大とくいだった。お兄様がたが来ると頭が上がらないから、単独行動を喜ぶ風がある。正三君は舟に酔うかと内心案じていたが、いっこうにそんなこともなく、 「海はいいですなあ!」 といわゆる 「内藤君、なんともないかい?」 「大丈夫です」 「それはしあわせだ。一々陸地へつけるんじゃたまらないよ」 と照彦様はいかにも大将らしい。< |
菊池寛 |
【 貞操問答 】 「まあ……そんな心配なんか致しませんわ……心配しているのは、私自身の心ですわ。私、あまりお世話になっていると……」新子は、そこまでいって、食後のマスカットの一粒を、そっととり上げた。「だから、お互に邪心なく、天空海闊に、お世話になったり、世話をしたりしようじゃありませんか……月も濁らず、水も濁らず……」 「そんなこと出来ませんわ。またいつどんな夕立が来るかも分らないんですもの。」と、新子は恥かしげに微笑した。 |
吉川英治 |
【 三国志 桃園の巻 】 だが、一たん上機嫌に昇ってしまうと、張飛の機嫌は、なかなか水をかけても「わはははは、今日かぎり、もう村夫子は廃業したはずじゃないか。お互いに軍人だ。これからは と、劉備へも、すぐ |
国枝史郎 |
【 五右衛門と新左 】 剽盗になってからの五右衛門は、文字通り自由の人間であった。本能によって振舞った。 快不快によって振舞った。 所謂る徹底した功利主義者として、天空海濶に振舞った。 「その結果が愉快でさえあれば、動機なんか何うだって構うものか」 これが五右衛門の心持であった。 |
国枝史郎 |
【 剣侠 】 その秋山先生は、奇嬌洒脱の面白い方じゃ、いまだ一度もお目にかからぬが、勇ましいお噂は承って居る。五百石といえば堂々たる知行、その知行取りの剣道指南役の、嫡男の身に産れながら、家督を取らず浪人し、遊侠の徒と |
榊亮三郎 |
【 金剛智三藏と將軍米准那 】 唯識の知爲眞の認識論から出發して、八不中道、百非皆遣、人法無我の高遠なる哲理を把握せんとして把握出來ず、體得出來ずして、動もすれば、淺薄皮相の懷疑に陷り、絶望の地獄に陷らんとするに臨みて事事無礙、理事圓融の哲理が現はれて、やがて即事而眞、色心一如、凡聖不二の宗教が建立せられ、小乘の佛教に説く地獄極樂の説に拘泥し、現世死後の應報の説に心を奪れた民衆は、天空海濶の自由の天地に活動の場所を發見し、輪王無價の髻珠は外に求むるまでもなく、却つて大なる自我の中にあり、胼胝窮子の辛苦して尋ね※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)はる眞の父は、遠きに求むるまでもなく、却つて自己の眼前に居ることを悟らねばならなかつた。 |
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