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勇猛果敢
ゆうもうかかん
作家
作品

太宰治

【碧眼托鉢 ――馬をさへ眺むる雪の朝かな――】

 かれこそ、厳粛なる半面の大文豪。世をのがれ、ひっそり暮した風流隠士のたぐいではなかった。三十四歳で死したるかれには、大作家五十歳六十歳のあの傍若無人のマンネリズムの堆積が、無かったので、人は、かれの、ユーゴー、バルザックにも劣らぬ巨匠たる貫禄かんろくを見失い、或る勇猛果敢の日本の男は、かれをカナリヤとさえ呼んでいた。

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下村湖人

【次郎物語 第五部】

諸君は、楽しい生活などという、あまったるい、自由主義的・個人主義的享楽主義きょうらくしゅぎに、いつまでもとらわれていてはならない。日本は今や君国のために水火をも辞さない 勇猛果敢ゆうもうかかんな青年を求めているのだ。この要求にこたえうるような精神を養うことこそ、諸君がこの塾堂に教えをうけに来た唯一ゆいいつの目的でなければならない。自分はあえて全軍の意志を代表して、このことを諸君の前に断言する。

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岸田國士

【富士はおまけ(ラヂオ・ドラマ)】

男の教師  よろしい。日本人としての矜り! この大自然の美は、われわれの魂です。祖先伝来の大和心を、今こそ、しみじみと感じなければなりません。そして、この比類なき国に生れたことを、ひたすら、感謝しなければなりません。気候温和、五穀豊饒、四海波穏かにして、人はみな勤勉であります。男子は勇猛果敢、女子は貞淑優雅、誠に人類の花、宇宙の宝である。

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石原莞爾

【最終戦争論・戦争史大観】

 ヒットラーのナチス革命は右両者の中庸である。その天才的直感力に依りて大体の大方針を確立し、その目的達成のために現実の逼迫を巧みに利用して勇猛果敢に建設事業に邁進する。方法は自然にその中に発見せられ、勇敢に訂正、改善して行く。その後を学者連中が理論を立てて行くのである。

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武田麟太郎

【現代詩】

彼が消極的な言葉を吐くと、その反対に自分は何か勇しいことが云いたくてならなかった。しかし、自分も本当は彼同様なのにちがいないのだ。強迫観念が身近く迫っていないだけの相違だろう。在学中から運動に飛こんで、乏しい自分なぞまでシンパにして大に勇猛果敢に活動した闘士がこの栗原とはどうしても思えなかった。

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海野十三

【蠅男】

 稀代きだい怪魔かいま「蠅男」の暴逆ぼうぎゃくのあとを追うて苦闘また苦闘、神のような智謀をかたむけて、しかも勇猛果敢な探偵ぶりを見せた青年探偵帆村荘六も、いま一歩というところで、無念にも蠅男とお竜の術中に おちいり、いま湯気に煙る砂風呂のうちに惨殺ざんさつされようとしているのであった。なんという無慚むざん、なんという口惜しさであろう。

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豊島与志雄

【三つの悲憤 ――近代伝説――】

 その次の日から、阮東の行動は勇猛果敢を極めました。あの五名の若者が、常に彼の身辺に附添っていました。彼は村々を次第に自分の支配下に編入し、民兵団の兵員を増加し、武器弾薬を何処からか夥しく輸送してきて蓄え、遠方へまで匪賊討伐に出かけました。

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牧逸馬

【戦雲を駆る女怪】

 もっとも、密偵部から強要されたからばかりではない。政府筋の有力な連中の多いパリーの彼女の騎士たちからも、さかんに帰巴きはするようにと勧めてきている。そのもっとも熱心な一人が、例の某閣僚だから、こういう保護があれば大丈夫だろうとも考えた。いままでの話でもわかるとおり、くいえば勇猛果敢ゆうもうかかん、悪くいえば変質者に近いほど怖いもの知らずのマタ・アリである。好運を信じて、一度難を逃れた獅子ししおりへまたはいり込んだのだが、今度は、生きては出なかった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28