いろは歌・いろはガルタ・いろは双六『目次』 

江戸いろは / 京都・上方いろは / 尾張いろは
地域で違う「いろはガルタ」

「いろはガルタ」の、
江戸と京都・上方、尾張の違いを見てみます。

 カルタ遊びには、小倉百人一首などを使った「歌ガルタ」や、たとえや諺を読み込んで「いろは」順に並べた「いろはガルタ」などがあります。

 いろは順は、「以呂波歌・伊呂波歌・いろは歌」といわれる四十七文字を読み込んだ七五調の歌が使われます。

以呂波歌・伊呂波歌・いろは歌

色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず
いろは歌-変体仮名
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす

 この四十七文字に、「京」を加えた四十八字を読み込んだ形が多く見られ、これを読み札と絵札の組にして四十八組の「カルタ」が作られます。

「いろはガルタ」の起源は京都を中心とする地域とされ、大阪、尾張(名古屋)を経て江戸に伝わったとされます。そのため、「京都・上方いろは」「江戸いろは」などといわれるカルタがあり、使われている諺なども地域によって違いが出て来ることになりました。

 例えば「いろは」の最初の「い」の項では、京都では「一寸先は闇」であるのに対し、尾張では「一を聞いて十を知る」が、江戸では「犬も歩けば棒に当たる」が使われました。「犬棒カルタ」という言葉がありますが、これは、「い」の項の諺の短縮化で「江戸いろはガルタ」の別称です。

  ここでは、現代に伝わる「江戸いろは」と、「京都・上方いろは」「尾張いろは」のそれぞれを対比させて見てみたいと思います。


  • 江戸の 1行目は、明治初期に東京(江戸) で出版された『新板いろはたとへ雙六』によります。京都の 1行目は、江戸末期に京都で出版された『新版いろはたとゑ廻双六』によります。
  • 京都の 2行目は、江戸末期の刊行とされる『新板以呂波譬飛廻双六』によります。
  • これらは、ほとんどが平仮名(変体仮名)と歴史的仮名遣いで書かれていますので、分かりやすくするために、適宜、漢字交じりにし、現代仮名遣いとしました。
  • 江戸の 2行目、京都の 3行目は、明治41年・1908年 発行の『日本百科大辞典』によります。
  • 江戸の 3行目以降、京都の 4行目以降は「江戸のこころ・上方の智恵」(小学館)や、現代に伝わる各種文献からの引用で、1行目、2行目と違うものがある場合に掲載しています。それぞれ、現代仮名遣いに変更した部分や、漢字にしたり、振り仮名をつけたりした部分があります。
  • 尾張の 1行目は、江戸時代に尾張藩士・小山駿亭によって著された『心学いろはいましめ(いろは譬解)』(文政8年・1825年)によります。(出典:池田弥三郎・檜谷昭彦著『いろはかるた物語』 [昭和48年・1973年 角川書店])。出典にない漢字表記にした部分があります。
  • 尾張の 2行目は、昭和60年・1985年発行の『日本大百科全書』(小学館)によります。
  • ことわざについては、出来るだけ解説を付けるようにしました。
  • 現代では不適切と受け取られる可能性のある表現を含む句もありますが、歴史的背景を示す意味から原形のまま掲載しています。


  • 江戸
    犬も歩けば棒に当たる
    いぬもあるけばぼうにあたる
    犬も歩けば棒に当たる
    *何かをしようとすれば、何かと災難に遭うことも多いという喩え。また、出歩けば思わぬ幸運に出会うことの喩えも。災難に遭う絵が描かれているカルタが多いが、両方描かれているカルタもある
    京都・上方
    一寸先は闇の夜
    いっすんさきはやみのよ
    一寸先闇の夜
    一寸先は闇
    尾張(大阪)
    一を聞いて十を知る
    いちをきいてじゅうをしる

  • 江戸
    論より証拠
    ろんよりしょうこ
    論より証拠
    京都・上方
    論語読みの論語知らず
    ろんごよみのろんごしらず
    論語読み論語知らず
    論語読みの論語知らず
    尾張(大阪)
    六十の三つ子
    ろくじゅうのみつご

  • 江戸
    花より団子
    はなよりだんご
    花より団子
    京都・上方
    針の穴から天のぞく
    はりのあなからてんのぞく
    針の穴から天のぞく
    針の穴から天をのぞく
    針の耳から天のぞく
    尾張(大阪)
    花より団子

  • 江戸
    憎まれ子世にはばかる
    にくまれこよにはばかる
    憎まれっ子世にはばかる
    京都・上方
    二階から目薬
    にかいからめぐすり
    二階から目薬
    二階から目薬
    尾張(大阪)
    憎まれ子神固し
    にくまれこかみかたし
    憎まれ子神直し
    にくまれこかみなおし

  • 江戸
    骨折り損の草臥れ儲け
    ほねおりぞんのくたびれもうけ
    骨折り損の草臥儲け
    京都・上方
    仏の顔も三度
    ほとけのかおもさんど
    仏の顔も三度
    仏の顔も三度
    尾張(大阪)
    惚ほれたが因果
    ほれたがいんが

  • 江戸
    屁をひって尻つぼめる
    へをひってしりつぼめる
    屁をひって尻つぼめる
    屁をひって尻つぼめ
    *しくじった後で慌てて取り繕おうとすること。でも、もう遅い。
    京都・上方
    下手の長談義
    へたのながだんぎ
    下手の長談義
    下手の長談義
    尾張(大阪)
    下手の長談義

  • 江戸
    年寄りの冷水
    としよりのひやみず
    年寄りの冷水
    京都・上方
    豆腐に鎹
    とうふにかすがい
    豆腐に鎹
    豆腐に鎹
    尾張(大阪)
    遠い一家より近い隣
    とおいいっかよりちかいとなり

  • 江戸
    塵積もって山となる
    ちりつもってやまとなる
    塵も積もれば山となる
    塵積もって山となる
    京都・上方
    地獄の沙汰も金次第
    じごくのさたもかねしだい
    地獄の沙汰も金次第
    地獄の沙汰も金次第
    尾張(大阪)
    地獄の沙汰も金次第

  • 江戸
    律義者の子沢山
    りちぎもののこだくさん
    律義者の子沢山
    京都・上方
    綸言汗のごとし
    りんげんあせのごとし
    綸言汗の如し
    綸言汗のごとし
    *皇帝が一度発した言葉は取り消したり訂正することができないという中国の格言。
    尾張(大阪)
    綸言汗のごとし

  • 江戸
    盗人の昼寝
    ぬすびとのひるね
    盗人の昼寝
    京都・上方
    糠に釘
    ぬかにくぎ
    糠に釘
    糠に釘
    尾張(大阪)
    盗人の昼寝

  • 江戸
    瑠璃も玻璃も照らせば光る
    るりもはりもてらせばひかる
    瑠璃も玻璃も照らせば光る
    *すぐれた素質や才能を持った者は、どこにいても目立つという喩え。玻璃は水晶。
    京都・上方
    類を以て集まる
    るいをもってあつまる
    類を以て集まる
    類を以て集まる
    *気の合った人や似たもの同士は自然と集まって来るものであるという喩え。
    尾張(大阪)
    類をもて集まる
    類をもって集まる

  • 江戸
    老いては子に従う
    おいてはこにしたがう
    老いては子に従う
    老いては子に従え
    京都・上方
    鬼も十八
    を(お)にもじゅうはち
    鬼も十八
    鬼も十八
    尾張(大阪)
    鬼の女房に鬼神
    おにのにょうぼうにきじん
    *「鬼の女房に鬼神がなる」とも言われ、鬼のような男性には同じような女房が来るという喩え。似たもの夫婦のこと。

  • 江戸
    破鍋に綴蓋
    われなべにとじぶた
    破鍋に綴蓋
    *壊れた鍋にも相応の蓋があるということで、どんな人にも相応しい伴侶があることの喩え。また、両者が似通った者同士であることの喩え。
    京都・上方
    笑う門には福来る
    わらうかどにはふくきたる
    笑う門には福来る
    笑う門には福来る
    尾張(大阪)
    若い時は二度ない
    わかいときはにどない

  • 江戸
    かったいの瘡うらみ
    かったいのかさうらみ
    かったいの瘡うらみ
    *大差ないものを見てうらやむこと。差別的ニュアンスを含む。「うらみ」は「うらやみ」の転。
    京都・上方
    蛙の面に水
    かえるのつらにみず
    蛙の面に水
    *「蛙」は、「かいる」と平仮名で書かれている。
    蛙の面に水
    尾張(大阪)
    陰裏の豆もはじけ時
    かげうらのまめもはじけどき

  • 江戸
    葭の髄から天井(天上)を見る
    よしのずいからてんじょうをみる
    葭の髄から天のぞく
    葭のずいから天井をみる
    京都・上方
    夜目遠目笠のうち
    よめとおめかさのうち
    夜目遠目笠のうち
    夜目遠目傘のうち
尾張(大阪)
横槌で庭掃く
よこづちでにわはく
横槌で庭を掃く

  • 江戸
    旅は道連れ
    たびはみちずれ
    旅は道連れ世は情け
    たびはみちずれよはなさけ
    京都・上方
    立て板に水
    たていたにみず
    立て板に水
    立て板に水
    尾張(大阪)
    大食上戸餅喰らい
    たいじきじょうごもちくらい

  • 江戸
    良薬は口に苦し
    りょうやくはくちににがし
    良薬は口に苦し
    良薬口に苦し
    京都・上方
    連木で腹を切る
    れんぎではらをきる
    連木で腹を切る
    連木で腹を切る
    *「連木」は近畿以西で「すりこぎ」をいう語。
    尾張(大阪)
    連木で腹を切る

  • 江戸
    総領の甚六
    そうりょうのじんろく
    総領の甚六
    京都・上方
    袖の振り合わせも他生の縁
    そでのふりあわせもたしょうのえん
    袖の振り合わせも他生の縁
    袖の振りあうも他生の縁
    尾張(大阪)
    袖の振り合せも他生の縁
    袖振り合うも他生の縁

  • 江戸
    月夜に釜を抜く
    つきよにかまをぬく
    月夜に釜を抜く
    月夜に釜を抜かれ
    月とすっぽん
    京都・上方
    月夜に釜を抜く
    月夜に釜を抜く
    月夜に釜を抜く
    月夜に釜を抜かれる
    *月の明るい夜なのに物が盗まれることで、ひどく油断することの喩え。
    尾張(大阪)
    爪に火灯す
    つめにひをともす

  • 江戸
    念には念をつがえ
    ねんにはねんをつがえ
    念には念を入れ
    念には念を入れよ
    京都・上方
    猫に小判
    ねこにこばん
    猫に小判
    猫に小判
    尾張(大阪)
    寝耳に水
    ねみみにみず

  • 江戸
    泣く面を蜂が刺す
    なくつらをはちがさす
    泣面を蜂が刺す
    泣き面に蜂
    泣きっ面に蜂
    京都・上方
    済す時の閻魔顔
    なすときのえんまがお
    済す時の閻魔顔
    済す時の閻魔顔
    *金品を借りるときはにこにこ顔だが、返すときには渋い顔。人間は得てして身勝手なもの。
    尾張(大阪)
    習はぬ経は読めぬ
    ならわぬきょうはよめぬ

  • 江戸
    楽あれば苦あり
    らくあればくあり
    楽あれば苦あり
    京都・上方
    来年の事言えば鬼が笑う
    らいねんのこといえばおにがわらう
    来年の事言えば鬼が笑う
    来年の事を言えば鬼が笑う
    尾張(大阪)
    楽して楽知らず
    らくしてらくしらず

  • 江戸
    無理が通れば道理引っ込む
    むりがとおればどうりがひっこむ
    無理が通れば道理引っ込む
    京都・上方
    馬の耳に風
    むまのみみにかぜ
    馬の耳に風
    馬の耳に風
    *編集注:ここでの「馬」は「むま」と読む。「むま」は「馬」のこと。『平安以降、「むま」と表記した例が多い(小学館・日本国語大辞典)』
    昔の剣今の菜刀
    むかしのつるぎいまのながたな
    尾張(大阪)
    無芸大食
    むげいたいしょく

  • 江戸
    嘘から出たまこと
    うそからでたまこと
    嘘から出た誠
    *編集注:「まこと」の字は、現代では「誠・実・真」の字が当てられる。
    京都・上方
    氏よりは育ち
    うじよりはそだち
    氏よりは育ち
    氏より育ち
    尾張(大阪)
    牛を馬にする
    うしをむまにする

  • 江戸
    芋の煮えたもご存じなく
    いものにえたもごぞんじなく
    芋の煮えたもご存じなし
    芋の煮えたもご存じない
    京都・上方
    鰯の頭も信心から
    いわしのかしらもしんじんから
    鰯の頭も信心から
    鰯の頭も信心から
    尾張(大阪)
    炒豆に華が咲
    いりまめにはながさく
    炒豆に花が咲く

  • 江戸
    咽もと過ぐれば熱さ忘るる
    のどもとすぐればあつさわするる
    咽もと過ぎれば熱さ忘る
    咽もと過ぐれば熱さを忘れ
    喉元過ぎれば熱さを忘れる
    喉元過ぎれば熱さ忘るる
    京都・上方
    鑿と言わば槌
    のみといわばつち
    鑿と言わば槌
    鑿と言えば才槌(さいづち)
    鑿と言えば槌
    尾張(大阪)
    野良の節句働き
    のらのせっくばたらき

  • 江戸
    鬼に金棒
    おににかなぼう
    鬼に金棒
    京都・上方
    負うた子に教えられて浅瀬を渡る
    おうたこにおしえられてあさせをわたる
    負うた子に教えられて浅瀬を渡る
    負うた子に教えられて浅瀬を渡る
    尾張(大阪)
    陰陽師身の上知らず
    おんようじみのうえしらず
    陰陽師の身の上知らず

  • 江戸
    臭いものに蓋
    くさいものにふた
    臭いものには蓋
    臭いものには蓋をしろ
    臭いものに蓋をしろ
    臭いものに蓋をする
    京都・上方
    臭い物に蝿がたかる
    くさいものにはえがたかる
    臭い物に蝿がたかる
    *「蝿」は、「はい」と平仮名で書かれている。
    臭い物には蝿がたかる
    尾張(大阪)
    果報寝て待て
    かほうねてまて
    果報は寝て待て

  • 江戸
    安物買いの銭失い
    やすものがいのぜにうしない
    安物買いの銭失い
    京都・上方
    闇に鉄砲
    やみにてっぽう
    闇に鉄砲
    闇夜に鉄砲
    尾張(大阪)
    闇に鉄砲

  • 江戸
    負けるは勝つ
    まけるはかつ
    負けるは勝
    負けるは勝ち
    負けるが勝つ
    負けるが勝ち
    京都・上方
    播かぬ種は生えぬ
    まかぬたねははえぬ
    播かぬ種は生えぬ
    播かぬ種は生えぬ
    尾張(大阪)
    待てば甘露の日和あり
    まてばかんろのひよりあり
    待てば海路(甘露)の日和あり
    まてばかいろ(かんろ)のひよりあり

  • 江戸
    芸は身を助くる
    げいはみをたすくる
    喧嘩過ぎての棒ちぎり
    けんかずぎてのぼうちぎり
    *喧嘩が終わってから棒切れを持ち出すことで、時機に遅れて役に立たないこと。
    芸は身を助ける
    芸は身を助く
    京都・上方
    下駄と焼味噌
    げたとやきみそ
    下駄と焼味噌
    下駄に焼味噌
    *板につけて焼いた味噌は下駄に似ているが、実際は違うところから、形は似ていても内容は全く違っていることの喩え。
    尾張(大阪)
    下戸の建てた蔵はない
    げこのたてたくらはない
    下戸の建てた倉はない

  • 江戸
    文を遣るにも書く手は持たぬ
    ふみをやるにもかくてはもたぬ
    文はやりたし書く手は持たず
    文はやりたし書く手は持たぬ
    京都・上方
    武士は食わねど高楊枝
    ぶしはくわねどたかようじ
    武士は食わねど高楊枝
    武士は食わねど高楊枝
    梟の宵だくみ
    ふくろうのよいだくみ
    尾張(大阪)
    武士は食わねど高楊枝

  • 江戸
    子は三界の首枷
    こはさんがいのくびっかせ
    子は三界の首枷
    *親というものは子を思う心に引かれて、終生自由を束縛されるものであるという喩え。
    京都・上方
    これに懲りよ道斎坊(道才坊)
    これにこりよどうさいぼう
    これに懲りよ道斎坊
    これに懲りよ道斎坊
    尾張(大阪)
    志は松の葉
    こころざしはまつのは
    *細い松の葉にも隠れるくらいの「気持ちばかり」という謙遜の意で、贈る人の真心が大事ということ。のし袋の表書きに、「御礼」の代わりに「松の葉」「まつのは」と書くことがある。

  • 江戸
    得手に帆を上げる
    えてにほをあげる
    得手に帆を上げ
    得手に帆を上ぐ
    京都・上方
    縁と月日
    えんとつきひ
    縁と月日
    縁の下の力持ち
    えんのしたのちからもち
    尾張(大阪)
    閻魔の色事
    えんまのいろごと

  • 江戸
    亭主の好きな赤烏帽子
    ていしゅのすきなあかえぼし
    亭主の好きな赤烏帽子
    京都・上方
    寺から里へ
    てらからさとへ
    寺から里へ
    寺から里へ
    尾張(大阪)
    天道人殺さず
    てんどうひところさず
    天道人を殺さず

  • 江戸
    頭隠して尻隠さず
    あたまかくしてしりかくさず
    頭隠して尻隠さず
    京都・上方
    足下から鳥が立つ
    あしもとからとりがたつ
    足下から鳥が立つ
    足下から鳥が立つ
    あきないは牛の涎
    あきないはうしのよだれ
    足の下から鳥が立つ
    尾張(大阪)
    阿呆につくる薬がない
    あほうにつくるくすりがない
    阿呆につける薬がない

  • 江戸
    三遍回って煙草にしょ
    さんべんまわってたばこにしょ
    三遍回って煙草にしょ
    京都・上方
    竿の先に鈴
    さおのさきにすず
    竿の先に鈴
    竿の先に鈴
    猿も木から落ちる
    尾張(大阪)
    触らぬ神に祟なし
    さわらにかみにたたりなし

  • 江戸
    聞いて極楽見て地獄
    きいてごくらくきてじごく
    聞いて極楽見て地獄
    京都・上方
    鬼神に横道なし
    きじんにおうどうなし
    鬼神に横道なし
    義理と褌かかねばならぬ
    ぎりとふんどしかかねばならぬ
    義理と褌はかかねばならぬ
    尾張(大阪)
    義理と褌

  • 江戸
    油断大敵
    ゆだんたいてき
    油断大敵
    京都・上方
    幽霊の浜風
    ゆうれいのはまかぜ
    幽霊の浜風
    幽霊の浜風
    尾張(大阪)
    油断大敵

  • 江戸
    目の上の瘤
    めのうえのこぶ
    目の上の瘤
    目の上のたん瘤
    京都・上方
    盲の垣覗き
    めくらのかきのぞき
    盲の垣覗き
    盲の垣覗き
    尾張(大阪)
    目の上の瘤

  • 江戸
    身から出た錆
    みからでたさび
    身から出た錆
    京都・上方
    身は身で通る
    みはみでとおる
    身は身で通る
    身は身で通るはだかん坊
尾張(大阪)
箕売りが古箕
みうりがふるみ
身うちが古み
みうちがふるみ

  • 江戸
    知らぬが仏
    しらぬがほとけ
    知らぬが仏
    京都・上方
    吝ん坊の柿の種
    しわんぼうのかきのたね
    吝ん坊の柿の核
    しわんぼうのかきのさね
    吝ん坊の柿の種
    尾張(大阪)
    尻喰観音
    しりくらえかんのん

  • 江戸
    縁は異なもの
    えんはいなもの
    縁は異なもの味なもの
    えんはいなものあじなもの
    京都・上方
    縁の下の舞
    えんのしたのまい
    縁の下の舞
    縁と月日
    えんとつきひ
    縁と月日を待つがよい
    えんとつきひをまつがよい
    尾張(大阪)
    縁の下の力持ち
    えんのしたのちからもち

  • 江戸
    貧乏暇なし
    びんぼうひまなし
    貧乏暇なし
    京都・上方
    瓢箪から駒
    ひょうたんからこま
    瓢箪から駒
    瓢箪から駒
    尾張(大阪)
    貧僧の重ね食き
    ひんそうのかさねじき
    貧相の重ね食い
    ひんそうのかさねぐい

  • 江戸
    門前の小僧習わぬ経を読む
    もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ
    門前の小僧習わぬ経を読む
    京都・上方
    餅は餅屋
    もちはもちや
    餅は餅屋
    餅は餅屋
    尾張(大阪)
    桃栗三年柿八年
    ももくりさんねんかきはちねん

  • 江戸
    背に腹はかえられぬ
    せにはらはかえられぬ
    背に腹はかえられぬ
    急いては事を仕損じる
    せいてはことをしそんじる
    京都・上方
    聖は道によって賢し
    せいはみちによってかしこし
    聖は道によって賢し
    聖は道によりて賢し
    せんちで饅頭
    せんちでまんじゅう
    せんちで饅頭食う
    *「せんち」は「雪隠(せっちん)」で「便所・トイレ」。こっそり人に隠れて自分だけいい思いをすることの喩え。
    尾張(大阪)
    背戸の馬も相口
    せどのむまもあいくち
    *裏口につないでおくしかない暴れ馬も、扱い方によってはおとなしくなることで、手のつけられない者にも頭の上がらない人や気の合う友人はいるという喩え。

  • 江戸
    粋は身を食う
    すいはみをくう
    粋は身を食う
    粋が身を食う
    *“粋”と言われる人が得意になって道楽に走り、いつの間にか身を滅ぼしてしまうということ。
    京都・上方
    雀百まで踊り忘れぬ
    すずめひゃくまでおどりわすれぬ
    雀百まで踊り忘れぬ
    雀百まで踊り忘れぬ
    尾張(大阪)
    墨に染まれば黒くなる
    すみにそまればくろくなる

  • 江戸
    京の夢大阪の夢
    きょうのゆめおおさかのゆめ
    京の夢大阪の夢
    京都・上方
    京に田舎あり
    きょうにいなかあり
    京に田舎あり
    京に田舎あり
    尾張(大阪)
    (「京」の項なし)
      京の夢大阪の夢

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Last updated : 2024/06/28