作 家
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作 品
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齋藤茂吉 |
【鯉】 安蔵は大石田の家に帰り、昼食を早々に済ませて、投網舟で行つてみたところが、果して鯉がゐた。二尺七八寸ぐらゐの奴が四尾ばかり先行し、同じぐらゐ大きい七八尾がそれにつづいてゐた。安蔵がいきほひ込んで網を打つたところが、手答があつて、実に大きいのが一尾とれた。あとは前に言つた洞窟に隠れてしまつたといふのである。 |
幸田露伴 |
【雁坂越】 何か魚でも釣って来てお菜(さい)にしてあげましょうって今まで掛(かか)って釣をしていましたよ、運が悪くって一尾(いっぴき)も釣れなかったけれども、とさもさも自分がおいらによく思われていでもするように云うのだもの、 |