作 家 |
作 品 |
若山牧水 |
【鳳來寺紀行】 ところが明治の革新に際し制度の變遷から悉く此等の寺封を取除かれ、その上明治八年及び大正三年兩度の火災で本堂初め十二坊からあつた他の寺々まで燒け失せて今では僅に醫王院松高院の二堂を殘すのみとなつている。 |
岸田国士 |
【走るノート】 中劇場国民座の舞台で、私の『百三十二番地の貸家』が演ぜられてゐる。 見物は空気にひとしい。 舞台では、たしかに、三つ四つの火が燃えてゐる。私は慰められた。 小劇場はヴエエトオヴエン祭の管絃楽。 聴衆はさすがに耳を忘れて来てゐない。 この一堂は、恐らく、神戸——大阪を底辺とする三角形の頂点だ。 |