作 家
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作 品
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泉鏡花 |
【伯爵の釵】 三宝の利益(りやく)、四方の大慶。太夫様にお祝儀を申上げ、われらとても心祝いに、この鯉魚(こい)を肴(さかな)に、祝うて一献、心ばかりの粗酒を差上げとう存じまする。 |
中里介山 |
【大菩薩峠駒井能登守の巻】 「まあ、ここへ来て温まり給え、寒さ凌(しの)ぎに一献(いっこん)参(まい)らせる」 |
中里介山 |
【大菩薩峠黒業白業の巻】 主膳は答えながら、竜之助の手を取って座敷へ延(ひ)いて坐らせ、 「まず、一献(ひとつ)」 ここで二人は水入らずの酒盛(さかもり)をはじめる。 |
佐々木味津三 |
【旗本退屈男 第十一話千代田城へ乗り込んだ退屈男】 「ま!花魁(おいらん)も……」 「傷の御前も……」 婢(おんな)たちは、目が高いと言っていいか、低いと言っていいか、主水之介をそれと看破(みやぶ)って成田屋、おいらん、二人が取巻きの川涼みと思ったらしく、忽ちそこへ見る目もさらに涼しい幾品かの酒肴(しゅこう)を運びました。 「おいらん、一献(こん)汲むか」 「あい。お酌いたしんす……」 「のう、成田屋」 「はッ」 |
夢野久作 |
【斬られたさに】 コレコレ。酒を持て酒を……サア平馬殿一献(いっこん)重ねられい。 |