作 家
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作 品
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芥川龍之介 |
【保吉の手帳から】 保吉はとうとう小径伝いに玄関(げんかん)の前の広場へ出た。そこには戦利品の大砲が二門、松や笹の中に並んでいる。 |
芥川龍之介 |
【三つの窓】 すると右舷(うげん)の大砲が一門なぜか蓋(ふた)を開かなかった。 |
森鷗外 |
【堺事件】 次は細川藩の留守居馬場彦右衛門、同藩の隊長山川亀太郎、浅野藩の重役渡辺競(きそう)の三人である。陣笠小袴(こばかま)で馬に跨(またが)り、持鑓(もちやり)を竪(た)てさせている。次に兵卒数人が行く。次に大砲二門を挽(ひ)かせて行く。次が二十挺の駕籠である。駕籠一挺毎に、装剣の銃を持った六人の兵が附く。 |
森鷗外 |
【堺事件】 「若しフランスの軍艦が来るようなら、どうぞわたくし共をお使下さい。砲台には徳川家の時に据(す)え付けた大砲が三十六門あって、今岸和田藩主岡部筑前守長寛(ちくぜんのかみながひろ)殿の預りになっています。わたくし共はあれで防ぎます。あなた方は上陸して来る奴を撃って下さい」と云った。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 小名路の巻】 いいや、軍艦ではない、用心のために大砲を一門だけはのせてみたいが、軍艦にしたくないのじゃ。 |
菊池寛 |
【俊寛】 最初、彼らは革命の失敗者として、清盛(きよもり)を罵(ののし)り、平家の一門を呪い、陰謀の周密でなかったことを後悔し、悲憤慷慨(ひふんこうがい)に夜を徹することが多かった。 |
泉鏡花 |
【縷紅新草】 盂蘭盆(うらぼん)に墓地へ燈籠を供えて、心ばかり小さな燈(あかり)を灯(とも)すのは、このあたりすべてかわりなく、親類一門、それぞれ知己(ちかづき)の新仏へ志のやりとりをするから、十三日、迎火を焚(た)く夜(よ)からは、 |
田中貢太郎 |
【鮭の祟】 「恐ろしいとも、一家一門が畜生道に墜ちて、来世は犬畜生に生れて来る」 |