作 家
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作 品
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泉鏡花 |
【縁結び】 下へ突込んで、鼠の噛(かじ)った穴から、白い切(きれ)のはみ出した、中には白骨でもありそうな、薄気味の悪い古葛籠(ふるつづら)が一折。 |
泉鏡花 |
【高野聖】 この汽車は新橋を昨夜九時半に発(た)って、今夕(こんせき)敦賀に入ろうという、名古屋では正午(ひる)だったから、飯に一折の鮨(すし)を買った。 |
森鷗外 |
【護持院原(ごじいんがはら)の敵討】 十一日にりよは中奥目見(なかおくめみえ)に出て、「御紋附黒縮緬(くろちりめん)、紅裏真綿添(もみうらまわたそひ)、白羽二重一重(しろはぶたへひとかさね)」と菓子一折とを賜(たまわ)った。同じ日に浜町の後室から「縞(しま)縮緬一反」、故酒井忠質室専寿院(ただたかしつせんじゅいん)から「高砂(たかさご)染縮緬帛(ふくさ)二、扇二本、包之内(つつみのうち)」を賜った。 |
森鷗外 |
【護持院原(ごじいんがはら)の敵討】 九郎右衛門が事に就いては、酒井忠学から家老本多意気揚(いきり)へ、「九郎右衛門は何の思召(おぼしめし)も無之(これなく)、以前之通可召出(いぜんのとほりめしいだすべし)、且行届候段満足褒美可致(かつゆきとどきそろだんまんぞくほうびいたすべし)、別段之思召を以て御紋附麻上下被下置(あさがみしもくだしおかる)」と云う沙汰があった。本多は九郎右衛門に百石遣って、用人の上席にした。りよへも本多から「反物代千疋(たんものだいせんびき)」を贈り、本多の母から「縞縮緬一反、交肴一折(まぜさかなひとをり)」を贈った。 |
佐々木味津三 |
【旗本退屈男 第十話幽霊を買った退屈男】 「のう! ……。参ったからには足がないという筈はあるまい。ちとこれはまた退屈払いが出来るかな。その菓子、二折とも開けてみい」 恐る恐る開けて見ると、しかしこれが二つともに見事な品でした。--源七からの贈り物は、桔梗(ききょう)屋の玉だれ。 誰袖からの品もまた、江戸に名代の雨宮の干菓子です。 |
宮本百合子 |
【五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍】 一例として、出版に関する統計を見よう。 印刷一折を標準として、 一九二七年 一、七五七、〇〇〇、〇〇〇 |