作 家
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作 品
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芥川龍之介 |
【素戔嗚尊】 彼は身仕度をすませると、壁の上の武器の中から、頭椎(かぶつち)の剣(つるぎ)を一振(ひとふり)とって、左の腰に結び下げた。 |
森鷗外 |
【佐橋甚五郎(さはしじんごろう)】 饗応に相判などはなかった。膳部(ぜんぶ)を引く頃(ころ)に、大沢侍従(おおさわじじゅう)、永井右近進(ながいうこんのしん)、城織部(じょうおりべ)の三人が、大御所のお使として出向いて来て、上(かみ)の三人に具足三領、太刀三振(たちみふり)、白銀三百枚、次の三人金僉知(きんせんち)らに刀三腰(とうみこし)、白銀百五十枚、上官二十六人に白銀二百枚、中官以下に鳥目(ちょうもく)五百貫を引物(ひきもの)として贈(おく)った。 |
織田作之助 |
【青春の逆説】 慰藉金を少くとも千円と見込んで、これでんねんと出したのを見ると、系図一巻と太刀一振だった。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 小名路の巻】 何だい、その寝かし物というのは」 「そりゃ刀でございます、名刀が一振(ひとふり)かくしてあるんでございます」 「ナニ、名刀? 名刀なら有っても決して邪魔にはならねえが、名刀にも品がある、お前たちのいう名刀は、あんまり大した代物(しろもの)ではあるまい」 |
浜野四郎 |
【夢の殺人】 ただ従来、斬ってかかるような物がおいてない。それ故、藤次郎は一振の短刀を求めたのである。 |
村山槐多 |
【殺人行者】 彼女は走つて行つたが、やがて手に電燈と、もう一つ変な物とを持つて帰つて来た。それは青い皮の鞘にはまつた一振の短刀である。 |
小栗虫太郎 |
【聖アレキセイ寺院の惨劇】 そう云って、警部は一振りの洋式短剣(ダッガー)を突き出した。 |
牧野信一 |
【ゼーロン】 私は特別に頑丈な大型の登山袋にそれを収めて、太い杖を突き、一振りの山刀をたばさんで出発した。 |
作者不詳 国民文庫 (明治43年) 校訂: 古谷知新 |
【源平盛衰記】 治承五年五月十九日 正六位上源朝臣行家 とぞ書たりける。此祭文に、神馬三匹銀剣一振、上矢二筋相具して、太神宮へ奉進す。 |