作 家
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作 品
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田山花袋 |
【一兵卒】 今まで見えなかった一棟の洋館がすぐその前にあるのに驚いた。 |
梶井基次郎 |
【ある崖上の感情】 ことに彼にそういう気持を起こさせたのは、一棟(ひとむね)の長屋の窓であった。 |
横瀬夜雨 |
【花守】 亡き友のうへ病める人の身など、それよりそれと考へ出して、父母百年の後にくらき或者の影のわが行く路に横はれるを悲しんで、寂たる湖心に家(家舟)を浮べ、ひとりそれに籠らば世に味氣なき事を思ふまじと思つた、一棟の家を建つるべき入りめと一人耕すべき田とはすでに持てり。 |
伊藤野枝 |
【転機】 一段高くなった隅に住居らしい一棟と、物置小屋らしい一棟とがそれより一段低く並んでいる。 |
夏目漱石 |
【満韓ところどころ】 三人は橋の手前にある一棟(ひとむね)の煉瓦造(れんがづく)りに這入(はい)った。 |
太宰治 |
【人間失格】 父の議員の任期もそろそろ満期に近づき、いろいろ理由のあった事に違いありませんが、もうこれきり選挙に出る意志も無い様子で、それに、故郷に一棟、隠居所など建てたりして、東京に未練も無いらしく、たかが、高等学校の一生徒に過ぎない自分のために、邸宅と召使いを提供して置くのも、むだな事だとでも考えたのか、 |
直木三十五 |
【大衆文芸作法】 この額風呂の庭には植込もかなり多いので、離れの一棟も母屋からは見透されません。 |
高山樗牛 |
【瀧口入道】 御身の茲に來られし途(みち)すがら、溪川(たにがは)のある邊(あたり)より、山の方にわびしげなる一棟(ひとむね)の僧庵を見給ひしならん。 |
海野十三 |
【海野十三敗戦日記】 十一月二十四日来襲の敵機は七十機内外で、爆弾は七十発ぐらい、あとは焼夷弾だった。ねらったところの第一は、三鷹の中島飛行機工場らしく、二十発の爆弾と焼夷弾一発が命中した。建物十七、八棟が倒壊、死者二百名、傷者三百名ということだった。 |