【米売】「なを米は候 けさの市にはあひ候べく候」
【豆売】「われらが豆も、いまだ商ひをそく候ぞ」
【いたか】「流灌頂ながさせたまへ 卒塔婆と申すは大日如来の三摩耶形」
【穢多】「この皮は大まいかな」
【豆腐売】「豆腐召せ 奈良よりのぼりて候」
【索麺売】「これは太索麺にしたる」
【塩売】「きのふの榑売のあたひまで、けふたまはる人もがな」
【麹売】「上戸たち、御覧じて、よだれ流し給ふな」
【玉磨】「是はちかごろの玉かな 火をも水をも取りつべし 念珠のつぶにはあたらもの哉」
【 硯切】 「石王寺は、白身かたくて切りにくき」※石や瓦から硯を作る職人。
【灯心売】
【 葱売】 ※「葱」は、女房詞で「一文字」と呼ばれ、他の「職人尽歌合」では「一文字売」と表記するものも見られる。
【牙儈】「御ようやさぶらふ」
【 蔵回】 「御つかひ物御つかひ物」※質流れ品を売買する商人。
【筏師】「此ほどは水潮よくて、いくらの材木を下しつらむ」
【櫛挽】「先こればかり挽きて、のこぎりの目を切らむ」
【枕売】「今一のかたも持て候 ひそかに召し候へ」
【畳刺】「九条殿に何事の御座あるやらむ 帖をおほく刺させらるゝ」
【瓦焼】「南禅寺よりいそがれ申候」
【笠縫】「世にかくれなき笠縫よ」
【鞘巻切】「当時はやらで、得分もなき細工かな」
【鞍細工】「あら、骨おれや」
【暮露】
【文者】「六韜の末は、宗と武道にて候 御稽古も候へかし」
【弓取】「運は天にあり、命は義によりてかろし」
【白拍子】「処/\に引く水は、山田の井戸の苗代」
【曲舞舞】「月にはつらき小倉山、その名はかくれざりけり」
【放下】「うつゝなのまよひや」
【 鉢扣】 「昨日みし人今日問へば」※「鉢叩」
【田楽】
【猿楽】「総角や、とんとう、尋ばかりや、とんとう」
【 組師】 「啄木は、この此召す人もなき、うたてさよ」※組み糸を作る職人。
【 摺師】 「梅の花ばかり摺るほどに、やすき」※衣装に模様をすりつける職人。
【畳紙売】「御畳紙召せ 色もよくいできて候ぞとよ」
【葛籠造】「茶葛籠も候 買はせ給へ」
【皮籠造】「この皮籠は人のあつらへ物にて候」
【矢細工】「これは知久箆とて、あつらへられて候」
【箙細工】「逆頬がなくて、柳箙にする」
【蟇目刳】「一尺にあまる御蟇目は、刳りにくゝて道がゆかぬ」
【行縢造】「あはれ、御行縢や、毛色もよし」
【 金堀】 ※鉱山で金銀鉱などを掘る坑夫。
【 汞堀】 ※汞は「水銀」のこと。「水銀堀(みずかねほり)」とも。
【 包丁師】 ※庖丁を用いて調理をする料理人。
【 調菜】 「砂糖饅頭、菜饅頭、いづれもよく蒸して候」※精進料理の副食物を作る者。
【 白布売】 「白布めせ、なう 端張も、尺もよく候ぞ」※晒しただけの白い布を売る者。
【直垂売】
【 苧売】 「ちかきほどに、又苧舟とをり候べく候 いかほども召し候へ」※麻やからむしの茎皮で作った糸を売る者。
【綿売】「綿めせ綿めせ しのぶ綿候ぞ」
【 薫物売】 「随分此香ども、選り整へたれば、この夕暮のしめりにおもしろき」※様々な香を合わせた練り香を売る者。
【薬売】「御薬なにか御用候 人参、甘草、桂心候 沈も候」
【山伏】「是は出羽の羽黒山の客僧にて候 三のお山に参詣申候」
【 持者】 「あら、おんかなおんかな 二所三島も御覧ぜよ」※「持経者」の略で、山伏に似た行者。
【禰宜】「高天の原に神とゞまりまし/\て」
【 巫】 「榊葉やたちまふ袖の追いひ風に」※「巫女(みこ)」のこと。
【競馬組】「むかしは、上ざまにももてなされし事の、今はこの氏人のみに残りて」
【相撲取】「道の思ひ出に、相撲の節に召さればや」
【禅宗】二「文字の上にをきては御不審たつべからず 若如何とならば、口を開かずして問ひきたれ」
【律家】一「教外別伝と申候ば、などや祖師とは仰候ぞ」
【念仏宗】「即便往生もたうとく、往生も只一たび南無ととなふれば、極楽に生 なにの疑ひかあらん 南無阿弥陀仏〻〻」
【法花宗】「末法万年、余経悉滅の時、此妙法花と申そうろうは、我等が祖師日蓮上人の御時、くれ/"\と説かれ候ときは」
【連歌師】「いまだこの折には、花が候はず候」
【早歌謡】「かたみに残る撫子の」
【比丘尼】二「仏弟子は、大かた皆さこそ候へども、御尼衆も譏嫌戒といふ事は候めるは 我らはつとめ行法はおなじ事にて候 坐禅工夫は、同じ御ことにてはよも候はじな それはよも教外別伝にては候はじ」
【尼衆】一「御比丘尼も、戒門は守らせ給ふなれども、などか飲酒をば御破り候ぞ 我らも観念と申すは、さにてこそ候へ」
【山法師】「わがたつの杣の月に及ぶべき所こそおぼえね」
【奈良法師】「もろこしの月よりも見所あればこそ、春日なる三笠の山とはよみつらめ」
【華厳宗】「御影供の御茶ののこりにて候」
【 倶舎衆】 「北斗の御祈はじめ候間、ひまなく候て」※「倶舎宗」
【楽人】
【舞人】
【 酢造】 「あ、すし、きかき哉」※玄米を蒸して醸成した酢を造る職人。
【 心太売】 「心太めせ 鍮石も入て候」
※「ところてん売り」のこと。「ちゅうじゃく」は「鍮石」の字を当て、「芥子」のこと。「鍮石」は「真鍮」のことで、芥子と同じく黄色い。
※心太は、「天草」・「寒天」の異名で、また、「ところてん」の異称。
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