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『和国諸職絵つくし』
に見る、『中世の職業・職人・商人』
= 江戸時代前期、貞享2年〈1685年〉 = |
「和国諸職絵つくし」(貞享2年〈1685年〉)
「和国諸職絵つくし」は、貞享二年〈1685年〉
に、浮世絵師菱川師宣
によって描かれたものとされます。「和国諸職絵つくし」の原拠は、室町時代中期の1500年末ごろに成立したとされる「
七十一番職人歌合
」とされ、その中から「四十三番」をとったと序に記されています。絵は、「七十一番職人歌合」を基に菱川師宣の筆致で“今様”に書き換えられています。
ここで引用した「和国諸職絵つくし」は、大正3年〈1914年〉 に日本風俗図絵刊行会によって復刻された「日本風俗図絵第2輯」を使用しています。
「和国諸職絵つくし」には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある呼称などがみられます。ここでは、歴史上の事実を理解することを趣旨として、そのままの形で掲載します。
職人名、職業名は出来るだけ現代の漢字で表記するようにし、読み方も歴史的仮名遣いから現代仮名遣いにしました。
このページでの「和国諸職絵つくし」は、国立国会図書館が所蔵し公開している画像を引用していますが、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っています。
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和国諸職絵つくし 并哥合
天地のひらけし時、逆鉾のくだれりけるより、道を玉鉾と名づけて、よろづの道をたてたり。ことに歌をやまとと名づけて、吾邦のことわざなりければ、神の道にもかよひ、人の心をも和ければ、金殿の光ことなるみぎり、をろかなる草の莚にも心をのべけるあまり、その道をかたどりて、をの/\左右をわかちて歌を合侍けり。題は月と恋を出して、衆議にて判じけるなるべし。いと興有ありけるにや。
四十三番歌合之題
月 恋
【 番匠
】
※「ばんしょう」とも。大工のこと。
【鍛冶】
【壁塗
】「やれ/\、うばらよ 家にて鏝猶とりてこ 壁の大工まいりて候 下地とくして候はばや」
【 檜皮葺】 「この棟がはらがをそき」※檜の皮で家根を葺く職人。
【研
】「さきがおもき。今ちとをさばや 主に問ひ申さん はばやさはいかに、手を切るぞ」
【 塗師】 「よげに候 木掻のうるしげに候 今すこし火どるべきか」※漆細工の職人。
【 紺掻】 「たゞ一しほ染めよとおほせらるゝ」
※紺屋(こうや)。染物屋。
【機織】「あこ、やう 筟もてこよ」
【 檜物師】 「湯桶にもこれはことに大なる なにのために、あつらへ給ふやらむ」※檜の薄板で曲げ物を作る職人。
【車作】「檳椰の輪とて、よくつくれとおほせ候」
【鍋売】「播磨鍋かはしませ 釜もさふらうぞ ほしがる人あらば仰られよ 弦をもかけてさう」
【
酒造り
】「先酒召せかし はやりて候うすにごりも候」
【 油売】 「きのうからいまだ山崎へもかへらぬ」※点灯用の油を売る行商人。
【餅売】「あたゝかなる餅まいれあたゝかなる餅まいれ」
【筆結】「兎の毛は、毛のうらおもて見えぬが大事にて候」
【筵打】「てしま筵かうしまへ 御座も候ぞ」
【浦人】「この縄、はや切るゝは たがうれ」
【山人】「ことしは秋より寒くなりたるは」
【木樵】「山市晴嵐も、里に帰れば物寂し」「伏見草とて、世にもてなさるゝみ秣よ」
【草刈】「伏見草とて、世にもてなさるゝみ秣よ」
【扇売】「扇は候 みな一ぽん扇にて候」
【烏帽子折
】「今時の烏帽子は、ちとそりてつかまつり候」
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