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矛盾撞着 むじゅんどうちゃく 二つの事柄が論理的に食い違い、つじつまが合わないこと。 ⇒ 自家撞着 |
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作家
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作品
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伊藤左千夫 |
【去年】
多いが上にまた子どもができるといっては、 |
石川啄木 |
【郁雨に與ふ】
かういふ事は、しかしながら、決して予の病氣についてのみではなかつたのである。考へれば考へる程、予の半生は殆んどこの悲しい横着の連續であつたかの如く見えた。予は嘗て誤つた生活をしてゐて、その爲に始終人と自分とを欺かねばならぬ苦しみを味はひながら、猶且つその生活をどん底まで推し詰めて、何うにも斯うにも動きのとれなくなるまでは、その苦しみの根源に向つて赤裸々なる批評を加へることを爲しかねてゐた。それは餘程以前の事であるが、この近い三年許りの間も、常に自分の思想と實生活との間の矛盾撞着に惱まされながら、猶且つその矛盾撞着が稍々大なる一つの悲劇として事實に現はれてくるまでは、その痛ましき二重生活に對する自分の根本意識を定めかねてゐたのである。さうしてその悲しむべき横着によつて知らず識らずの間に予の享けた損失は、殆んど測るべからざるものであつた。
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坂口安吾 |
【一家言を排す】
なるほど人間の存在それ自らが解きがたい一つの矛盾撞着であることも事実であらうが、かゝる存在それ自らとしての矛盾撞着は非論理的なものではなく、論理化された矛盾であつて、充分に知的なものであり、政治家的処世術としての非論理性とは自らその趣きを異にする。充分論理的であるべき筈の無産派政治家すら大人物型的非論理性に溺れやすい状態で、我々の理知をも感情をもひいては全存在を冷静な知性を凝らして観察し一応論理化することは相当至難なことである。
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寺田寅彦 |
【徒然草の鑑賞】
子供の時から僧になった人とちがって、北面武士から出発し、数奇の実生活を経て後に頭を丸めた坊主らしいところが到る処に現われている。そうしてそういう人間が、全く気任せに自由に「そこはかとなく」「あやしう」「ものぐるほしく」矛盾も |
宮本百合子 |
【山本有三氏の境地】
山本有三氏の作品を読むと、人々は作者の正義感を快く共感し、そのことで自分の人間らしい、誠意の感情を楽しみ、日常的な努力感を刺戟され、同時に、益々今日のそれぞれの日暮しの姿を肯定する気持を励まされる。ところで、今日の私たちの日暮しなるものの土台はまことに矛盾撞着甚しいものがあるのであるから、作者山本氏の与える種類の正義感の満足には一面に、その当然の性質として大きく現代の常套と妥協せざるを得ないところがある訳である。
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岸田國士 |
【近代劇論】
革命時代及び帝政時代は、演劇的不毛の期間であつた。が、それは、浪漫主義の陣痛期に外ならぬ。やがて、ヴィクトオル・ユゴオ(Victor Hugo, 1802-85)が、戯曲「クロンウェル」を発表し、その序文に於て、浪漫劇の主張を振り翳した。 彼は先づ、「人生そのものは、支離滅裂にして、矛盾撞着に充てり」と云ふ。それ故、戯曲も亦、条理整然たるを要せずといふのである。次に「戯曲の革新は、第一に文体より始めざるべからず」と云ふ。彼は韻文を棄てなかつたが、詩形に若干の自由を求めた。また「長台詞を封ぜよ。人物をして自ら語らしめよ」と云つた。 |
内田魯庵 |
【八犬伝談余】
正直に平たく白状さしたなら自分の作った脚色を餅に |
戸坂潤 |
【現代唯物論講話】
文化の真理・発展・等々と今日のジャーナリズムとの矛盾撞着を本気に問題とするのなら、文化と今日の支配的社会との矛盾撞着がより根本の問題になる筈であり、従って又、今日の階級文化の内部に含まれている内部的矛盾が終局の問題でなくてはならぬ筈である。
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夢野久作 |
【暗黒公使(ダーク・ミニスター)】
その癖又、弱々しいところもあるかと思うとしっかりし過ぎているところもあるし、落着いているようにも見えれば慌てているようにも見える。その他何から何まで理窟の揃わない辻褄の合わぬ事ばっかりしているので、その行動の矛盾 |
小栗虫太郎 |
【黒死館殺人事件】
こうして事件の第一日は、矛盾撞着を山のごとくに積んだままで終ってしまった。が、はたして翌朝になると、あらゆる新聞はこの事件の報道で、でかでか一面を飾り立てて、日本空前の神秘的殺人事件と、すこぶる
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