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天資英明
てんしえいめい 生まれつき才知が人より抜きん出て、すぐれているさま。
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作家
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作品
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宮本百合子 |
【津軽の虫の巣】
始め、天資英明の聞えが高かった綱吉が、彼の初政に布いた善政は、長く諸人の胸に留まっていたので、生類憐愍の令も、或る程度まではいくらかの同情をもって、寛容に観られていたでもあろう。
しかし、歳を経るに従って、法令は益々出て益々奇怪至極なものとなって来た。
たとい公方様のお達しとはいえ、僅か自分の怪俄で死んだ小猫一匹のために、歴とした武家一族が、八丈嶋へ遠嶋とは、余りといえば存外ではないか。
また近くはつい先頃、江戸の小鼓では押しも押されもせぬ一代の名人観世九郎が、鬱晴らしについ何心なく羽田の沖に釣糸を垂れたばかりに、不愍にも船頭もろとも欠所遠嶋仰せつけられたという、驚くべき例もある。
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