《百人一首・上の句から覚える》 21~40= 百人一首 (小倉百人一首) を覚える =
- 「小倉百人一首」とは
- 「
百人一首 」とは、読んで字の如く百人の歌を一首ずつ集めたもので、「後撰百人一首」「源氏百人一首」など様々ありますが、最も有名なものが文暦2年・1235年に成立したとされる「小倉百人一首 」です。
現代において「百人一首」と言えば「小倉百人一首」と言っても過言ではなく、その原型は、鎌倉時代の歌人藤原定家が、嵯峨小倉山荘で奈良時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院まで570年間の百人の歌を選び、百枚の色紙に揮毫した『小倉山荘色紙和歌』『嵯峨山荘色紙和歌』などと呼ばれるものです。
「小倉百人一首」は、第一から第十までの勅撰和歌集の中から選ばれ、『古今集』からの歌が二十四首で最も多く、種別で最も多いのは恋歌で四十三首選ばれています。作者は男性が79人、女性が21人です。
歌道の入門書として読み継がれ、また、習字の手本として使われたり江戸時代になると木版画による絵入りの「かるた」として庶民の間にも広まり現代に至っています。
『勅撰和歌集 は、天皇などの命により編纂された歌集のことで、藤原定家が百人一首を選んだのは次の十集です。
・ 『古今和歌集』………24首
・ 『後撰和歌集』……… 7首
・ 『拾遺和歌集』………11首
・ 『後拾遺和歌集』……14首
・ 『金葉和歌集』……… 5首
・ 『詞花和歌集』……… 5首
・ 『千載和歌集』………14首
・ 『新古今和歌集』……14首
・ 『新勅撰和歌集』…… 4首
・ 『続後撰和歌集』…… 2首
- 使い方と説明
- ・ 下の枠の番号をクリックすると句が出たり消えたりします。
・ 番号のついた一行目は、短歌の基本形「五・七・五・七・七」の五句のうちの上の句の一句目、つまり、初句・第一句です。
・ 初句・第一句が同じものが六首あります。この六首については、第二句まで一行目に表記しました。
・ 二行目は、歴史的仮名遣いによる漢字仮名交じりの句です。定家筆の「色紙」は仮名書きでしたが、後世に様々な人が書写した際、それぞれの和歌の出典を思い出したりしながら漢字仮名交じり文字で書かれ、様々な表記の注釈書などがあまた伝わっています。
・ 三行目の緑の字は、歴史的仮名遣いによる表記です。
・ 三行目・四行目で、太字で赤く着色した部分は、「かるたの早取り」として覚えるための上の句の「決まり字」です。
・ 四行目の青い字の行は、現代仮名遣いによる表記です。
・ 五行目は、作者とその歌が収められている勅撰和歌集です。
・ 六行目は、各勅撰集に収められている原歌とされるもの、または、基になっている歌集です。この百人一首とは字句が違うものもあります。
・ 枕詞、掛詞が含まれる場合は七行目に記しました。枕詞は、係る語を矢印で示しています。
・ 枕詞、掛詞などにも解釈が様々あるようです。ここに記載したものが全てではありません。歌の表記、作者の読み方などと合わせて専門書などでご確認ください。
・ それぞれに、江戸時代初期の浮世絵師・菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の画による「小倉百人一首」を掲載しました。これは、延宝8年・1680年の作品で、国立国会図書館が所蔵するものです。 - 21 今来むと
- 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな
いまこんと いいしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな
素性法師 「古今集」
今来むと 言ひしばかりに 長月の 有り明けの月を 待ち出でつるかな
- 22 吹くからに
- 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ
ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん
文屋康秀 「古今集」
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
[掛詞] あらし = 嵐・荒らし
- 23 月見れば
- 月見れば 千々に物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
大江千里 「古今集」
月見れば 千々にものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど
- 24 このたびは
- このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに
このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに
菅家 =菅原道真 「古今集」
このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉 の錦 神のまにまに
[掛詞] たび = 旅・度 手向 = 手向(山)・手向け
- 25 名にし負はば
- 名にし負はば あふ坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな
なにしおはば あふさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな
なにしおわば おうさかやまの さねかずら ひとにしられで くるよしもがな
三条右大臣 =藤原定方 「後撰集」
名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人にしられで くるよしもがな
[掛詞] あふ = 逢ふ・逢(坂) さね = さ寝・さね(かずら) くる = 来る・繰る
- 26 小倉山
- 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ
おぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん
貞信公 =藤原忠平 「拾遺集」
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆきまたなむ
- 27 みかの原
- みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ
みかのはら わきてながるる いずみがわ いつみきとてか こいしかるらん
中納言兼輔 =藤原兼輔 「新古今集」
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ
[掛詞] わきて = 分きて・湧きて いづみ = 泉(川)・出水
- 28 山里は
- 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば
源宗于朝臣 「古今集」
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば
[掛詞] かれ = 離れ・枯れ
- 29 心あてに
- 心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな
凡河内躬恒 「古今集」
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
- 30 有明の
- 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし
ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし
ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし
壬生忠岑 「古今集」
有り明けの つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし
- 31 朝ぼらけ 有明の月と
- 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき
坂上是則 「古今集」
朝ぼらけ 有り明けの月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
- 32 山川に
- 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
やまがわに かぜのかけたる しがらみは ながれもあえぬ もみじなりけり
春道列樹 「古今集」
山川に 風のかけたる しがらみは ながれもあへぬ 紅葉なりけり
- 33 ひさかたの
- ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずごころなく はなのちるらん
紀友則 「古今集」
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
[枕詞] = ひさかたの → 光
- 34 誰をかも
- 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに
たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに
藤原興風 「古今集」
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
- 35 人はいさ
- 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける
紀貫之 「古今集」
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
- 36 夏の夜は
- 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
なつのよは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ
なつのよは まだよいながら あけぬるを くものいずこに つきやどるらん
清原深養父 「古今集」
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ
- 37 白露に
- 白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける
文屋朝康 「古今集」
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
- 38 忘らるる
- 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな
わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな
右近 「拾遺集」
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
- 39 浅茅生の
- 浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき
あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき
あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき
参議等 =源等 「後撰集」
浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど 余りてなどか 人の恋しき
[枕詞] 浅茅生の → 小野
- 40 忍ぶれど
- 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで
しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで
しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで
平兼盛 「拾遺集」
忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで
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