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「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」で始まる『
長短、合わせておよそ三百段の文章で成り立っています。出だしの部分は義務教育の中学の教科書に出て来ますので覚えていらっしゃることと思います。
さて、下に掲載した画像は、江戸時代の初め、寛永年間(1624年 - 1645年) に書き写されたとされるものです。「春はあけぼの」を覚えていれば大体読めるのではないかと思いますが、それでも出だしでつまずいたりしませんでしたか。「春は」の文字は読めましたか? これは「者流八」という漢字を使った、いわゆる変体仮名です。
ここでは、変体仮名・くずし字で書かれた『枕草子』を読み解く作業をしてみます。次のページに、第一段(序段・初段)の部分について「原画・変体仮名・原文平仮名・現代仮名遣い」を掲載しました。
寛永の書写版の文字を読むもので、枕草子の解説ではありません。
『枕草子 』第一段(序段・初段)
寛永年間(1624年 - 1645年)の書写版
*ここでは、変体仮名やくずし字を読み解くことを目的として、寛永年間(1624年 - 1645年)の書写版を使用しています。そのため、教科書などに多く採用されている文章と表現の違う部分があります。
《この版での例》
『夏は夜 月のころはさらなり 闇もなほ 螢飛びちがひたる 雨などの降るさへおかし』
『日入り果てて 風の音 虫の音など 冬は雪の降りたるは 言うべきにもあらず』
『日入り果てて 風の音 虫の音など 冬は雪の降りたるは 言うべきにもあらず』
《教科書などに多く見られる例》
『夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし』
『日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言うべきにあらず。 冬はつとめて。雪の降りたるは言うべきにもあらず』
『日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言うべきにあらず。 冬はつとめて。雪の降りたるは言うべきにもあらず』
*この画像での最後の行の下の部分は、次の段に当たるため、ここでは便宜上削除しました。
■ 変体仮名目次 ■