《 コラム - ちょっと知識 》 「日傘」がつく四字熟語 『乳母日傘』 2. 「乳母日傘」が登場する文芸作品 検索のヒント 1 「乳母日傘」という言葉 2 「乳母日傘」が登場する文芸作品 ≪≪ 日傘の数え方へ戻る 2. 「乳母日傘」が登場する文芸作品 菊池寛「ある恋の話」 何しろ蔵前の札差で山長と云えば、今で云うと、政府の御用商人で二三百万円の財産を擁しておろうと云う、錚々(そうそう)たる実業家に当る位置ですから、その一人娘の――尤(もっと)も男の子は二人あったそうです。――祖母が、小さい時からお乳母日傘(んばひがらかさ)で大きくなったのは申すまでもありません、祖母の小さい時の、記憶の一つだと云う事ですが、お正月か何かの宮参りに履(は)いた木履(ぽっくり)は、朱塗の金蒔絵(きんまきえ)模様に金の鈴の付いたものでしたが、おまけにその木履の胴が刳貫(くりぬき)になっていて、祖母が駕籠(かご)から下りて木履を履く時には、ちゃんとその中に湯を通して置くと云う、贅沢(ぜいたく)な仕掛になっているそうであります。 泉鏡花「婦系図」 貴女、それこそ乳母(おんば)日傘で、お浅間へ参詣にいらしった帰り途、円い竹の埒(らち)に掴(つかま)って、御覧なすった事もありましょう。道々お摘みなすった鼓草(たんぽぽ)なんぞ、馬に投げてやったりなさいましたのを、貞造が知っています。 牧逸馬「チャアリイは何処にいる」 巷(ちまた)の景色は、おんば日傘で育ってきた子供たちに、このうえなく珍らしかったに相違ない。 野口雨情「おさんだいしょさま」 横丁生れ お乳母日傘の 娘さん達よ わたしゃ下街(したまち) 横丁の生れ 蝶よ花よじゃ 育ちゃせぬ 産みの親より 育ての親じゃ 親も横丁の 角( かど)生れ わたしゃ皆さん 気も荒い 夢野久作「爆弾太平記」 とてもシッカリした奴なんだ。第一そういう面魂(つらだましい)が尋常じゃなかったよ。お乳母日傘(んばひがさ)でハトポッポーなんていった奴とは育ちが違うんだからね……。 前へ 1 2 1 「乳母日傘」という言葉 2 「乳母日傘」が登場する文芸作品 ≪≪ 日傘の数え方へ戻る ● 目次 | あ | か | さ | た | な | は | ま | や | ら | わ ● おすすめサイト・関連サイト…