『浮世絵・錦絵』 などを見る「目次」 絵本江戸土産くずし字目次 国会図書館リンク目次 《参考》くずし字一覧 絵本江戸土産(えほんえどみやげ)・くずし字を読む= 浅草 金龍山 境内桜/同所 奥山 花屋舖 = 絵本江戸土産くずし字目次 《浅草 金龍山 境内桜》 《翻刻》 浅草 金龍山 境内桜 去年 安政三丙辰 同所奥山に千本の花を植る 元来何人の寄進なること定かならねと 多く北里の名妓これを献り おのおのその名を記したる簿を挂たりしも 雨露に朽ちて後には別かたけん 実に春時の一賞翫 名だたる芳野の山桜も 争かこれに及ふへき 況や東都に比すへきなく その景扶桑に冠たるものなり 《現代表記》 浅草(あさくさ) 金龍山(きんりゅうざん) 境内桜(けいだいさくら) 去年(きょねん)、安政(あんせい)三丙辰、同所(どうしょ)奥山(おくやま)に千本(ちもと)の花を植(うう)る。元来(もとより)何人(なにびと)の寄進(きしん)なること定(さだ)かならねど、多く北里(ほくり)の名妓(めいぎ)これを献(たてまつ)り、おのおのその名を記(しる)したる簿(ふだ)を挂(かけ)たりしも、雨露(うろ)に朽(くち)ちて後には別(わき)かたけん。実に春時(しゅんじ)の一賞翫(いちしょうがん)。名だたる芳野(よしの)の山桜(やまざくら)も、争(いかで)かこれに及(およ)ぶべき。況(いわん)や東都(とうと)に比(ひ)すべきなく、その景(けい)扶桑(ふそう)に冠(かん)たるものなり。 *安政三年は、1856年 *千本(ちもと) は、樹木などが数えきれないほど多いこと。 *芳野(よしの)は、吉野に同じ。 *扶桑(ふそう)は、中国から見て太陽の出る東の方にある国。すなわち、日本の異名。 *説明は、などの意。 *万治は、1658年から1661年。 漢字(かな) 《同所 奥山 花屋舖》 《翻刻》 同所 奥山 花屋舖 この花屋敷のこと 前にいへり 名に愛て 春は 梅 桜をはしめ 山吹 馬酔木の類いにいたり 色を争そひ 枝をかはしてたゝ春色をここに止む 夏は地中の燕子花 あるいは花菖蒲咲みちて 魚これが為に踊り遊ひ 看る人漫に煩熱をわする 秋は種々の艸の花 野もせにすだく虫の声 うら枯そめて深雪ふる 冬の気色もいと妙にて 実に延命の奇観といふべし 《現代表記》 同所 奥山(おくやま) 花屋敷(はなやしき) この花屋敷のこと、前にいえり。名に愛(めで)て、春は、梅、桜をはじめ、山吹(やまぶき)、馬酔木(ぼけ)の類(たぐ)いにいたり、色を争(あら)そい、枝をかわしてただ春色(しゅんしょく)をここに止(とど)む。夏は地中(ちちゅう)の燕子花(かきつばた)、あるいは花菖蒲(あやめ)咲(さき)みちて、魚(うお)これが為に踊り遊び、看る人漫(すずろ)に煩熱(はんねつ)をわする。秋は種々(くさぐさ)の草の花、野もせにすだく虫の声、うら枯(がれ)そめて深雪(みゆき)ふる、冬の気色(けしき)もいと妙(たえ)にて、実(じつ)に延命(えんめい)の奇観(きかん)というべし。 *煩熱(はんねつ)は、むしむしと暑苦しいこと。暑苦しさ。 *すだくは、虫などが集まってにぎやかに鳴くこと。また、むらがること。「集く」と書く。 *うら枯(がれ)は、草木の先の方が色づいて枯れる意。「末枯れ」と書く。 *説明は、などの意。 *万治は、1658年から1661年。 漢字(かな) *この地図の初期設定での中心点は金龍山浅草寺付近。初期設定の左の地図は関東平野迅速測図と呼ばれる地図で、明治前期の、明治13年〈1880年〉から明治19年〈1886年〉にかけての関東平野。 地図を拡大 絵本江戸土産くずし字目次 おすすめサイト・関連サイト…