二代目歌川国輝による錦絵より
- 原典:二代目 歌川国輝(うたがわくにてる)画。浮世絵師。歌川豊国門人。江戸時代の天保元年・1830年(
)生まれ。明治7年・1874年(
)死去。
- このページは、参考にした文献の文字をそのまま起こしたものです。
- このページの原典原画は、現時点での調査では、日本銀行金融研究所貨幣博物館がその一つを所蔵していることが分かっていますが、当サイトでの原画の掲載許可をいただけませんでした。原画は別途入手出来た時点で掲載します。
- このページの台詞は、久保田彦作編による明治16年・1883年刊の『歌舞伎十八番 市川団十郞お家狂言 下』とほぼ同じです。
- このページを参考としているのは、当サイトでのメーンの原典を、文化8年・1811年刊の『花江都歌舞妓年代記』に掲載された台詞としているためです。
拙者親方
と申は御
立合の
内に
先達て
御存知のおかた/″\もござりませう御江戸を立つて二十里上がた
相州小田原いつしき町をおすぎ被成靑物丁を左りへ御出でなさればらんかんばし
虎屋藤右衛門只今はていはつ致し
圓齋と名のります
元朝より大つごもり迄お手に
入まする此藥は
昔ちんの国の
唐人ういらうと申もの
我朝へ
來り
帝へさんだいのをりから此藥を
深くひめおき用ゆる時には
一粒づゝかむりのすきまよりとりいだすよつて其名をみかどよりとう
珍香と
賜はる
即文字にはいたゞきにすく
匂ひと
書てとうちんかうと申す
只今此藥ことの外
世上にひろまり方/″\に
似せかんばんを
出しイヤ小田原のはいだはらのさんだはらの
炭だはらのといろ/\申せ供ひらがなをもつてういらうとしるせしは
親方圓齋ばかりもしやお立合の内にあたみかたうの
澤へとうじにお出なさるゝか又は
伊せへ御
參宮の
折からは
必ず御
立寄おもとめくださりませうお
登りなれば右りがはお下りならば左りのかたはつぽうが八ッむね
表が三ッむねぎよくどうづくりはふには
菊桐の
御紋御しやめんあつてけいづたゞしい藥でござるイヤさいぜんより
家名のじさんばかり申ても御ぞんじのない方にはしやうじんのこせうまるのみしら川
夜舩さらば一
粒たべかけてそのきみやいをお目にかけませう先此藥をかやふに一
粒したの上にのせましてふくないへおさめまするとイヤどふもいへぬはいかんはいかんがすこやかになつてくんぷうのんどよりきたり
口ちうびりやうをしやうずるがごとし
魚鳥木の
子めんるいのくい合せ
其外万病にそくこうあること
神のごとし扨此藥第一の
奇妙にはしたのまはる事がぜにごまがはだしでにげるひよつと
舌がまはり
出すと
横もたてもたまらぬじやそりや/\/\/\/\まはつて來たはまはつてくるは
あはやのどさたらなしたにかげさしおんはまの二ッはくちびるのきやうじうかいごうさはやかにあかさたなはまやらわおこそとのほもよろをいつぺきへぎにへぎはじかみぼんまめぼんごめぼんごぼうつみたてつみまめつみざんしよしよさんのしやそうぜうこゞめのなまがみ/\こんこゞめのこなまがみしゆすひじゆすしゆちん
親も
嘉兵衛子も嘉兵へおやかへ子かへ子かへ
親かへふるくりの木のふるきり口かみがつぱかばん
合羽かきさまのきやはんもかはぎやはんわれらがきやはんもかはぎやはんしつかはばかまのしつぽころびを
三針はりながにちやとぬてぬてちやとぶんだせかわらなべかつらなでひこせきちくのらによらいみのらによらいにむのらによらい
一寸のおこぼとけにおけつまづきやるなほそみぞにどぢよによろり京の
生鱈なら
生なまがつをちよと四五萬貫めお
茶たちよちやたちよちやつとたちよちやたちよ靑竹ちやせんでお
茶ちやきちやくるは/\何がくる
高野の
山のおこけらこぞう
狸百ぴき
箸百
膳天目百ぱい
棒八百本ぶぐばぐ/\三ぶぐばぐ合てぶぐばぐ六ぶくばぐきくきり/\三
菊きりあはせてきくきりむきくきりむきごみ/\みむきごみ六むきごみあのなげしの
長なぎ
刀はたが
長刀ぞ向ふのごまがらはゑごまがらかまごまからかあれこそほんのまごまから/\ひい/\
風車
おきやがりこぼし/\ゆんべもこぼして又こぼしたたゝたぷぽゝちりから/\つッたつぽたぽ/\ひだこおちやたらにてくをにてもやいてもくわれぬものはごとくてつきうかなへまどうじにいしくまいしもちとらくまとらぎす中にも東寺のらせう門にはいばらきどうじがうでくりこんごうつかんておむしやるかの
頼光のひざもとさらずふなきんかんしいたけさだめてごだんなそば切りそふめんうどんがぐどんなこゝな子しぼちこだなのこしたのこをけにこみそがこあらずこじやくしこもつてこすくてこよこせおつとがてんじやこゝろへたんぼの川さきかな川ほどがや
戸塚ははしつて行ばやいとをすりむくさんりばかりか
藤澤ひらつか大いそがしや小いその宿を七ッ
起して
早天そう
朝相しう小田原とうちん香かくれござらぬ
貴賤群衆の花のお江戸の花ういらうあれあの花を見てお心がお
和ぎやつといふうぶこほう子に至る迄此ういらうの御
評判御存ないとは申されまい/\つぶり
角だせ
棒だせぼう/\まいに
薄ぎぬすりばちばち/\/\くわら/\/\とはめをはづしてゑいとう/\今日お出の何も様へ上ねばならぬと
息せいひつぱりとうほうせかいの藥のもとじめやくし
如來もしやうらんあれとホヽうやまつてういらうはいらつしやりませぬか